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無料立ち読み フルカラーでやさしくわかる! テーピングの基本 2章:各論 ①肩のテーピング 2 肩関節脱臼(前方・後方)

無料立ち読み フルカラーでやさしくわかる! テーピングの基本 2章:各論 ①肩のテーピング 2 肩関節脱臼(前方・後方)

はじめに

肩関節脱臼は,上腕骨の骨頭が肩甲骨の関節窩から脱臼することを言う。肩関節は人体の関節構造の中で最も可動域が広い関節のひとつで,なおかつ関節窩は骨頭に対して股関節のように包み込む形状をしていないため,脱臼しやすいとされる。アメリカンフットボール,レスリングなどのコンタクトスポーツと,バスケットボールなど肩外転位で相手の動きを止めることが多い競技でよくみられる。
初回脱臼時の治療が不十分であると反復性肩関節脱臼に移行しやすい。また,若年者(10歳代)では特に反復性肩関節脱臼に移行しやすい。

症状(図1

・肩関節部の変形
・触診にて上腕骨頭の位置異常(前方・前下方へずれる前方脱臼,後方へずれる後方脱臼)
・腫脹,皮下出血
・強い疼痛(前方脱臼では内旋時,後方脱臼では外旋時に強い)
・肩関節可動域制限(前方脱臼では内旋制限,後方脱臼では外旋制限)
・前方脱臼時に腋窩神経が牽引(図2),障害されると三角筋領域(肩外側)や肩前方の疼痛,外転筋力や外旋筋力の低下を認める

発生原因

肩関節は前方,後方,下方いずれの方向にも脱臼しうる。その際に,肩甲骨関節窩を取り囲む関節唇の損傷を生じたり(バンカート病変),脱臼した上腕骨頭が関節窩と衝突して関節軟骨損傷や陥没骨折を生じたりする(ヒルサックス病変)ことがある(図3)。


完全に骨頭が脱臼する完全脱臼と,関節窩に骨頭が乗り上げるが,そのまま完全に脱臼することなく再度関節窩におさまる不完全脱臼がある。
・スポーツ中,外傷,転倒など様々な原因で生じる
・肩関節に過剰な外転,外旋が加わると前方脱臼する
・肩関節に下方への牽引力が過剰に作用すると下方脱臼する
・上腕骨頭に後方への外力が加わると後方脱臼する(過剰な水平内転,内旋でも生じることがある)
・特に,肩甲骨が胸郭上で固定されていないと腱板の作用が不十分となり,このため上腕骨頭の関節窩に対する求心位での固定力が弱まり,脱臼しやすいとされる

テーピングの目的

スポーツ場面では前方方向への脱臼がほとんどである。この場合テーピングは,肩関節の過度な外旋や水平伸展を制限することが主目的となる。また,下方への不安定性にも対応する場合がある。

効用

肩関節前方脱臼の危険肢位である肩関節水平外転および外旋運動を制限することで,スポーツ活動時の肩関節の不安定感を軽減。

ターゲット

・腱板のサポート
・関節包,肩甲上腕靱帯のサポート など

肩関節脱臼(前方・後方)に対するテーピング

動画1

スタート姿勢 立位もしくは坐位

テーピングの方法 step by step

〈使用するテープ〉
•粘着性アンダーテープ(カバーロールストレッチ) 100mm幅
非伸縮性リジッドテープ(ロイコテープ) 38mm幅または50mm幅
ハード伸縮テープ 75mm幅


テーピングのコツpearlsと注意点pitfalls
肩関節運動の制限は,不安感の程度によって調節する。
•サポートテーピングを貼付する際は,上腕骨頭を前方に強く引っ張らないように注意を払う必要がある。
•外旋制限テーピング貼付の際は,胸郭を広げた(胸を張った)姿勢を維持させる。
•貼付後,肩関節の水平外転,外旋が制限されている感覚を確認する。
•血流を制限する可能性があるため,アンカー貼付の際,上腕筋群を収縮するように指示する。

越田専太郎,大内 洋


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