無料立ち読み フルカラーでやさしくわかる! テーピングの基本 2章:各論 ①肩のテーピング 1 肩鎖関節脱臼
無料立ち読み フルカラーでやさしくわかる! テーピングの基本 2章:各論 ①肩のテーピング 1 肩鎖関節脱臼
はじめに
肩鎖関節脱臼は活動性の高い人に非常によく生じる外傷であり,鎖骨遠位端と肩峰で構成される肩鎖関節において鎖骨が前後,もしくは上下に脱臼するものを言う。
症状
症状は多岐にわたり,鎖骨の突出を伴わないような,肩鎖関節靱帯や烏口鎖骨靱帯(円錐靱帯,菱形靱帯)の軽度の捻挫から,これらの靱帯が完全断裂して鎖骨が大きく突出しているものまで様々である。鎖骨が大きく突出しているような症例でも通常は疼痛がなくなり,機能障害も残さないことが多い。しかし,変形が強いほど疼痛なく動かせるようになるまでに時間がかかる。
・軽症の肩鎖関節脱臼では烏口鎖骨靱帯の捻挫のみで,X線や視診にて鎖骨の位置異常を認めない
・中等症になると,肩鎖靱帯が断裂し,烏口鎖骨靱帯も捻挫もしくは部分損傷している。鎖骨が軽度突出し,位置異常を認める
・重症になると,肩鎖靱帯,烏口鎖骨靱帯がともに断裂し,肩鎖関節が大きく脱臼し,このために鎖骨や肩峰が大きく突出する
・肩鎖関節部に自発痛,圧痛を認める
・X線にて肩鎖関節の脱臼を認める(おもりをもったまま撮影することで脱臼が顕在化することもある)
図1は肩鎖関節周囲の靱帯構造を示した図である。

発生原因
・肩から直接転倒
・肘から転倒して,その衝撃が肩への介達外力として作用
上記にて多くの場合は肩鎖靱帯が損傷する。
一方,さらに強い衝撃が肩に加わると烏口鎖骨靱帯も断裂し,鎖骨と肩甲骨の間での大きな転位が生じる。
テーピングの目的
上腕の下垂時,または肩関節運動時に肩鎖関節に加わる牽引力を低減させることが主な目的となる。また,急性期にはスリング(三角巾)の補助として用いることもある。
効用
①肩鎖関節の違和感や不安感を軽減
② ①に伴う一時的な肩関節機能の改善
ターゲット
・肩鎖靱帯,鳥口鎖骨靱帯(菱形靱帯,円錐靱帯)
肩鎖関節脱臼に対するテーピング
動画1
スタート姿勢 立位もしくは坐位
テーピングの方法 step by step
〈使用するテープ〉
•粘着性アンダーテープ〔商品例:カバーロールストレッチ(BSN medical社)〕 100mm幅
•非伸縮性リジッドテープ〔商品例:ロイコテープ(BSN medical社)〕 38mm幅または50mm幅
•ハード伸縮テープ 75mm幅






テーピングのコツpearlsと注意点pitfalls
•上腕下垂位をサポートするテープは,上腕を保持しながら骨頭を中間位置に保つようにして貼る。
•鎖骨を押さえるサポートテープを貼付する際は,胸郭を広げた(胸を貼った)姿勢を維持させる。
•上腕下垂時や肩関節運動時の不安感や違和感が十分に軽減しているかを確認する。また,肩関節屈曲の動作を過剰に制限していないかを確認する。
•血流を制限する可能性があるため,患者には上腕筋群を収縮させておくように指示する。
•非伸縮性リジッドテープ(ロイコテープ)が利用できない場合には,ハード伸縮テープで代替してもよい。
越田専太郎,大内 洋
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