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ケーススタディ がんの痛みをとる! これならすべての医師が痛みをとり除くことができる

この1冊ですべての医師ががんの痛みをとり除くことができる!

定価:4,950円
(本体4,500円+税)

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監修: 武田文和(埼玉医科大学客員教授)
監修: 的場元弘(国立がんセンター中央病院緩和医療科医長)
判型: B5判
頁数: 208頁
装丁: 2色刷
発行日: 2009年05月25日
ISBN: 978-4-7849-6031-6
版数: 第1版
付録: -

WHO方式がん疼痛治療法の基本原則に沿った簡潔な鎮痛薬治療によって痛みから解放されたがん患者さんの事例集の第1章と、WHO方式がん疼痛治療法について正しく理解するためにQ&A形式でわかりやすくまとめられた第2章「がんの痛み治療の実践法の基本」で構成されています。がんの痛みをとり除くことは、どの科の医師にも実践できることがわかります。

目次

第1章 がんの痛みから解放された人々_─_臨床での治療経過の報告
事例01 アセトアミノフェン(非オピオイド鎮痛薬)の内服で痛みが消えた膵臓がん(大動脈周囲リンパ節転移)患者の事例
事例02 NSAIDs投与で痛みが消えた肝細胞がん(多発リンパ節転移)患者の事例
事例03 ザルトプロフェン(NSAIDs)にオキシコドンの併用で痛みが消えた結腸がん(肝・肺・脊椎転移)患者の事例
事例04 NSAIDsにオキシコドンを少併用して鎮痛できた乳がん(肝・骨転移)患者の事例
事例05 前立腺がんからの骨転移による痛みを在宅でスムーズに除くことができた前立腺がん(骨転移)患者の事例
事例06 オキシコンチンの内服で痛みが消失した胃がん肝転移患者の事例
事例07 自己管理下のモルヒネ増量法を用いて痛みが消えた肺がん患者の事例
事例08 NSAIDs(ロキソプロフェンナトリウム)に加えて,オキシコドンの内服で痛みが消えた胃がん(肝転移)患者の事例
事例09 NSAIDs(エトドラク)とオキシコドン併用で鎮痛維持後に痛みが増強,薬を増量した胃がん(肝・リンパ節転移)患者_─_在宅ホスピスケアを受けた事例
事例10 オピオイドの説明を行うことで誤解が解けてモルヒネを開始,鎮痛できた乳がん(胸骨転移)患者の事例
事例11 嘔気予防をせずに臨床的問題となったが,制吐薬でコントロールできた下咽頭がん(左大腿骨頭・骨盤筋・肺転移)患者の事例
事例12 予防的に制吐薬を投与し嘔気なく,オピオイド鎮痛薬で除痛できた子宮頸部がん(全摘術後左仙骨再発)患者の事例
事例13 便秘対策を行わなかったために難渋した胃がん(肝・腹腔内リンパ節転移)患者の事例
事例14 予防的に緩下薬を併用し便秘をコントロールできた尿管がん(頸椎・頸部リンパ節転移)患者の事例
事例15 内服できないためモルヒネ持続皮下注で痛み治療を開始したS状結腸がん(術後再発,肝・仙骨転移)患者の事例
事例16 モルヒネ内服困難となりフェンタニル貼付剤に変更した膵臓がん(リンパ節転移)患者の事例
事例17 NSAIDsとオピオイド鎮痛薬では除痛不十分であったが,抗うつ薬の追加併用で鎮痛できた肺がん(リンパ節・骨転移)患者の事例
事例18 ナプロキセンとオキシコドンでは除痛が不十分であったが,抗痙攣薬(ガバペンチン)の追加併用で速やかに鎮痛できた直腸がん(肝転移)患者の事例
事例19 メキシレチンの併用で鎖骨上リンパ節転移による神経障害性の痛みが著明に改善した肺がん患者の事例
事例20 高度の在宅緩和ケアを自宅で行った胃がん患者の事例~重度のがん患者の緩和ケアを引き受ける在宅緩和ケアチームについて~

第2章 がんの日常診療に携わる医療職に必要な「痛みの鎮痛薬治療法」Q&A
Q1がんの痛みの適切な治療法とは?
Q2がんの痛みをとることは医師の義務?
Q3がんの痛み治療に用いる麻薬指定鎮痛薬とは?その処方に際しての留意点は?
Q4がんの痛み治療で用いる麻薬指定鎮痛薬(麻薬)は依存症を起こすのか?また耐性を起こすのか?
Q5日本での医療用モルヒネの年間消費量はどれくらいか?
Q6日本のがんの除痛率アップを妨げている原因は何か?除痛率を上げる対策はあるか?
Q7除痛してあげたくても痛みを訴えず,鎮痛薬を嫌う患者がいるがどうすべきか?
Q8がんの痛みの特徴とは?
Q9がんの痛み治療の目標設定は?
Q10がんの痛みの診断手順は?
Q11がんの痛みへの鎮痛薬投与法の5つの基本原則とは?
Q12がんのの痛みに対する鎮痛薬の経口投与の利点は?経皮投与との違いは?
Q13痛みの強さに相応した鎮痛薬を選ぶための注意点は?WHO三段階除痛ラダー~薬の選択順序
Q14鎮痛薬の投与間隔は?
Q15レスキュー・ドーズとは?その使い方は?
Q16現在日本でがんの痛み治療に使われている主な鎮痛薬は?
Q17鎮痛薬の副作用としてどのような症状がみられるか?その対策は?
Q18非オピオイド鎮痛薬とは?その使用方法は?
Q19軽度から中等度の痛みに用いられるオピオイド鎮痛薬とは?その使用方法は?
Q20中等度から高度の痛みに用いるオピオイド鎮痛薬とは?
Q21モルヒネとはどのような薬か?その特徴は?
Q22モルヒネにはどのような剤形や種類があるか?
Q23モルヒネの投与法と投与時の注意点は?
Q24患者ごとにモルヒネの至適量を迅速に求める工夫と患者への説明のコツは?(応用編)
Q25オキシコドンとはどのような薬か?その特徴は?
Q26オキシコドンにはどのような剤形や種類があるか?その投与法は?
Q27フェンタニルとはどのような薬か?どのような剤形と種類があるか?その特徴は?
Q28フェンタニルの使用法と使用時の注意事項は?
Q29オピオイド・ローテーション,オピオイド・スイッチングとは?
Q30オピオイド鎮痛薬の非経口投与法とは?
Q31その他のオピオイド鎮痛薬は?また神経障害性の痛みに併用する鎮痛補助薬とは?
Q32鎮痛薬で痛みが消失しきれないとき検討すべき点とは?
Q33薬以外に痛みをとる方法は?
Q34がんの痛みに対する鎮痛処方の誤りとは?
■参考文献
■Self Assessment
がんの痛みの薬による治療の成績向上に役立つ15の質問
がんの痛みの薬による治療の成績向上に役立つ15の質問への回答
■索 引

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序文

本書は、どの科の医師にも実践できるWHO方式がん疼痛治療法の基本原則に沿った簡潔な鎮痛薬治療によって痛みから解放され、よきQOLを維持したがん患者さんの事例集である第1章と、国際的指針のWHO方式がん疼痛治療法の真髄について正しい理解を広めるための「がんの痛み治療の実践法の基本」をQ&A形式でわかりやすくまとめた第2章で構成されています。「がんになっても痛みからは必ず解放される日本」の実現をめざして出版しました。

医学会や医学雑誌の事例報告の多くは、「治療に難渋した事例」や「複雑な治療法よって痛みがやわらいだ事例」を記録したものであるため、がんの痛みの治療法は難しいものとの誤解を与えていますし、また教育指導者と自負している人々の一部が「WHO方式がん疼痛治療法」の真髄について曲解した発言をし、臨床現場の医師、看護師、薬剤師を混乱させています。いずれも看過できないことなので、本書はWHOでの討議討論に当初から参画した医師と、その日本での普及の初期の頃から教育啓発活動に取り組んできた医師とが協力して監修し、診療経験を積み重ねてきた全国各地の医師に簡潔な処方による治療法が良好な成果をあげた事例を報告してもらってまとめました。
経済の水準も医療の水準も世界一流で、国民の死亡原因の第1位ががんである日本で、「がんの痛み治療が低調」であることは不名誉なことですし、海外からは不思議だとも思われています。ニューヨーク・タイムスが「日本人のがんは痛みを起こさない人種的特性でもあるのか」と取材に来日し、「日本での普及活動は他の国の手本になるほどだと理解したが、普及活動の成果の広がり方が遅い」と報道しました(詳細はhttp://blog.livedoor.jp/fumikazutakeda/を参照のこと)。このゆっくりした日本での動きを大幅に加速させることが全医療職の責務であり、本書のめざすところです。
どの科の医師にとっても実施できる実践的内容を主眼とした本書を、がん患者の診療の際の座右の書として活用して下さい。

平成21年(2009年)春
武田文和
的場元弘

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レビュー

【書評】がん患者を痛みから解放するがん疼痛治療の実践書

小川 節郎/日本大学医学部麻酔科学系教授
悪性新生物、すなわちがんは我が国の死因の第1位であり、毎年33万人がそのために死亡している。このうち約7〜8割の患者は、死亡までになんらかの痛みに悩まされ、その半数は激しい痛みに苛まれるという統計が出ている。
それらの患者は、きちんとした痛みの治療を受けているであろうか? 答えは「否」であり、そのことが「がんは恐ろしいもの」という受け止められ方をする原因の一つとなっている。
2007年4月からがん対策基本法が施行され、その中でも「がん患者の状況に応じて疼痛などの緩和を目的とする医療が早期から適切に行われるようにすること」が明記されている。
1986年、世界保健機関によるがん疼痛治療法が提唱されてからすでに23年が経っているが、がんの痛みの治療はいまだ不十分と言わざるを得ない。大きな理由は、医療用麻薬を使用することに関する誤解や不適切な使用法、知識や経験の不足である。
本書の副題には「これならすべての医師が痛みをとり除くことができる」とある。疼痛除去に成功した様々な20症例を実例として取り上げ、その治療法を経時的、実際的に示した後、「がんの日常診療に携わる医療職に必要な痛みの鎮痛薬治療法」に関する34のQ&Aから成り立っている。
症例の項目からは、今自分が受け持っているがん疼痛患者と重ね合わせることによって、どのような薬物療法が可能なのか一目瞭然である。
注意点などはpointとして要点をまとめてあり、監修者のコメントが添えられ、読者の理解を深める工夫がなされている。そして、その後のQ&Aでは、実際の臨床面で遭遇する様々な問題点、疑問点が網羅されている。
本書をそばに置いて参照することにより、多くのがん疼痛患者が痛みから解放されるであろう。そして、医療者側にとってもがん疼痛治療を上手に行えるようになるであろう。
監修者と執筆者の長年の実績に裏打ちされた、がん疼痛治療の実践書である。

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