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小児へのインフルエンザワクチン接種回数が日米で異なる理由は?【確実な予防のために年齢をどこで区切るべきかについての判断の相対的差違による】

登録日: 2018.01.21 最終更新日: 2025.09.20

中野貴司 (川崎医科大学小児科教授)

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小児のインフルエンザワクチンの接種回数ですが,わが国は「12歳までは2回接種」なのに対し,米国では「9歳以上は1回接種」のようです。国によって接種回数が異なるのはどうしてでしょうか。ワクチンの差ということであれば,わが国のワクチンは効きが悪いということなのでしょうか。

(千葉県 K)



【回答】

わが国のインフルエンザHAワクチンと米国のインフルエンザsplitワクチンは,ともに不活化されたインフルエンザウイルスのヘマグルチニン(hemagglutinin:HA)が主成分です。すなわち,有効成分はほぼ同一で,そのHA含量も変わりません。米国では抗原量を増量したワクチンも市販されていますが,一般に使用される不活化インフルエンザワクチンは,わが国の製剤と抗原の種類・量ともに同一です。

しかし,年齢別の接種回数については,わが国は「12歳までは2~4週間の間隔をおいて2回。13歳以上は1回または2回」,米国は「8歳までは4週間以上の間隔をあけて2回,9歳以上は1回。ただし8歳までの小児でも過去に2回以上の接種歴があれば1回の接種で可」1)とされています。

米国で8歳までの接種回数を2回に設定している理由として,不活化インフルエンザワクチンはプライミング効果が弱いために,インフルエンザウイルスに対してナイーブな個体は1回の接種ではワクチンの免疫原性や予防効果が十分でないことが挙げられています2)~4)


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