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インクレチンGLP-1とGIPの働きの違い,特にGIPの糖尿病に対する作用特性は?【GLP-1はグルカゴン分泌を抑制し,GIPは血糖値の安定化に寄与】

登録日: 2018.01.22 最終更新日: 2025.09.20

太田嗣人 (金沢大学脳・肝インターフェースメディシン研究センター細胞代謝栄養学准教授) 藤田征弘 (旭川医科大学内科学講座病態代謝内科学分野講師)

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インクレチンにはグルカゴン様ペプチド(glucagon-like peptide-1:GLP-1)と消化管抑制ペプチド(gastric inhibitory polypeptide:GIP)の2つがあり,分解酵素であるジペプチジルペプチダーゼ-4(dipeptidyl peptidase-4:DPP-4)阻害薬は,両者の血中濃度を保つことで食後の血糖を低下させます。同様に,GLP-1受容体作動薬は,糖尿病薬として使用される一方,GIPの働きは不明な点が多いと言えます。GLP-1とGIPの働きの違い,特に,糖尿病に対するGIPの作用の特徴についてご教示下さい。
旭川医科大学・藤田征弘先生にご教示をお願いします。

【質問者】

太田嗣人 金沢大学脳・肝インターフェースメディシン研究センター細胞代謝栄養学准教授



【回答】

GIPは,発見された当初,胃の運動を抑制する消化管ホルモンとして同定されました。その後GLP-1の発見に先立って,血糖値に依存してインスリンを分泌させる「インクレチン」であることが証明されました(glucose-dependent insulinotropic polypeptide)。GIP受容体は,GLP-1受容体と同様にG蛋白共役受容体であり,cyclic AMPが増加することで生理作用を発揮します。膵臓のβ細胞ではGIPとGLP-1両方の受容体が発現しており,血糖依存性にインスリン分泌を促進し,β細胞に対する増殖,アポトーシス抑制作用を示します。

最近GLP-1に関しては,小腸L細胞から分泌されたGLP-1が血液で膵臓へ運ばれ働くというより神経系を介して作用を発揮することが,また膵α細胞から分泌されるGLP-1の作用が注目を浴びています。一方,GIPは,インスリン非依存性おそらく膵外作用により血糖が低下する可能性が実験で示されています。


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