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糖尿病黄斑浮腫に対する網膜レーザーの進歩【レーザー治療装置の進歩で,低侵襲,正確な治療が可能に】

登録日: 2017.07.20 最終更新日: 2025.09.20

白矢智靖 (東京大学眼科特任講師) 加藤 聡 (東京大学眼科准教授)

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糖尿病黄斑浮腫(DME)に対して格子状網膜光凝固術が視力維持に有効とされたが1),経年変化による凝固斑の拡大融合のため,輪状暗点や中心視力の悪化をきたし,レーザー治療は相応の網膜侵襲を伴うことが宿命であった。

しかし,短時間高出力で行うパターンスキャンレーザーが開発され,この照射方法では網膜内層への影響が少なく,より低侵襲の治療が可能となった。

近年では閾値下網膜光凝固術という新たな概念が登場し,DMEのレーザー治療は低侵襲的に行うことが標準になりつつある。これにはmicropulseTM 810-nm diode laserを用いた方式のほか,PAS CAL®に搭載されたendpoint managementがあり,これは0.015秒という短い照射時間とともに,独自のアルゴリズムを用いて照射エネルギーを電子制御し,低侵襲で最適なレーザー照射を行うプログラムである。閾値下網膜光凝固術の治療成績は近年の研究においても従来の凝固法と同等,またはそれ以上の効果があると報告されている2)

そのほか,照射ターゲットをあらかじめプログラミングし,それをもとに自動追尾して照射を行うimage guided treatmentと呼ばれる凝固法を可能にした装置(Navilas®)も開発され,正確かつ安全に照射を行うことが可能である。

次世代のレーザー装置の登場によって,DMEに対する低侵襲かつ安全な治療が期待される。

【文献】

1) Arch Ophthalmol. 1985;103(12):1796-806.

2) Lavinsky D, et al:Invest Ophthalmol Vis Sci. 2011;52(7):4314-23.

【解説】

白矢智靖*1,加藤 聡*2 *1東京大学眼科特任講師 *2同准教授


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