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抗ヒスタミン薬の疼痛抑制機序は?【ヒスタミンは痛み惹起物質としても作用する】

登録日: 2017.05.31 最終更新日: 2025.09.20

谷内一彦 (東北大学大学院医学系研究科機能薬理学教授) 中村正帆 (東北医科薬科大学薬理学准教授)

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慢性炎症が何らかの理由で急性化した場合,激しい痛みが出て,抗菌薬や鎮痛薬が無効のことがあります。このとき抗ヒスタミン薬を用いると劇的に痛みが消えるのですが,このメカニズムをお教え下さい。

(東京都 H)


【回答】

ヒスタミンは痒み惹起物質として知られていますが,痛みの受容にも関係しています。ヒスタミンの皮下投与により侵害受容器を興奮させて痛みが生じることは,1930年頃から報告されています。細胞組織損傷・炎症により障害された組織,毛細血管からの血小板,局所のマスト細胞などから多くの生理活性物質(ブラジキニン,K,セロトニン,ヒスタミン,PGE2,PGI2,LTB4,サブスタンスP,VIP,CGRP等)が放出され,痛覚神経線維終末が刺激されます。細胞が障害されたときにヒスタミンが遊離され,血管拡張,痛み,浮腫を発生させるのです。


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