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カタレプシーの病態生理【orexin-1受容体やprotein kinase-Aの関与が示唆されている】

登録日: 2017.05.30 最終更新日: 2025.09.20

金沢徹文 (大阪医科大学神経精神医学教室) 米田 博 (大阪医科大学神経精神医学教室教授)

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カタレプシー(catalepsy)は統合失調症,ヒステリー,催眠術などでみられるようですが,この病態生理を教えて下さい。中枢性の運動神経系の過活動なのか,前頭葉や基底核の異常,筋肉そのものの異常なのか。また,治療もできるのでしょうか。

(東京都 F)


【回答】

カタレプシーは強硬症とも言われ,緊張病症候群の症状の1つとされます。外部から一定の姿勢や四肢の位置を取らされた患者が,自ら姿勢を変えようとはせず,長時間そのままでいることを言います。高度になると筋緊張が高まり,四肢を思いのままの形に,あたかも蝋細工のように曲げて不自然な姿勢を保持することに由来する,蝋屈症と言われる病態を呈します1)。これら症状は緊張病症候群(統合失調症緊張型)に特徴的とされますが,同様の症状は器質性精神障害や症状精神病などで,またヒステリーなどの心因性精神障害や催眠状態でも呈することが知られています。

カタレプシーの特徴として,患者は能動性を失っており,自発的行動ができないと言われています。逆に言うと意識は障害されておらず,障害されていた時期の記憶を保持していると考えられています。ご質問にある3つの病態(統合失調症,ヒステリー,催眠術)は,それぞれ異なった症候をとらえている可能性があります。以下は主に統合失調症におけるカタレプシーに関する記述であることをご確認下さい。


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