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(4)糖尿病合併例,脳卒中既往例での降圧目標値をどうするか [特集:見直し! 高齢者高血圧治療 ─SPRINT試験の衝撃から]

登録日: 2017.03.17 最終更新日: 2025.09.20

三浦伸一郎 (福岡大学病院循環器内科診療教授)

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「高血圧治療ガイドライン2014」における糖尿病合併および脳血管障害合併高血圧の降圧目標値は,診察室血圧でそれぞれ130/80mmHg未満および140/90mmHg未満である

SPRINT試験では糖尿病合併例が除外されているため,糖尿病合併例での降圧目標値の設定根拠とはならない

糖尿病合併例を対象としたACCORD-BP試験では,強化降圧治療群(収縮期血圧120mmHg未満)と標準降圧治療群(同140mmHg未満)で主要複合エンドポイントに有意差はなかった

ACCORD-BP試験では,強化降圧治療群では標準降圧治療群に比し,副次エンドポイントの全脳卒中(非致死的脳卒中)の発症率が41%(37%)減少していた

糖尿病合併例または脳卒中既往例での高齢者高血圧の降圧目標値は,140/90mmHg未満(65~74歳)または150/90mmHg未満(75歳以上)をめざし,忍容性があれば130/80mmHg未満をめざす

1. 糖尿病合併例,脳卒中既往例での降圧目標値の設定

糖尿病合併例,脳卒中既往例の降圧目標値は,「高血圧治療ガイドライン2014」1)において設定されている。最近,SPRINT試験2)が発表され,厳格な降圧の重要性が指摘された。しかし,この試験では糖尿病合併例が除外されており,糖尿病合併例を対象としたACCORD-BP試験3)でも,主要複合エンドポイントにおいて厳格な降圧の有用性は証明されなかった。
したがって,本稿では降圧目標値の設定をどのように考えるべきかについて「高血圧治療ガイドライン2014」,SPRINT試験およびACCORD-BP試験を中心に概説する。


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