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ウィリス動脈輪はどのように構成されているか? 【輪状構造のみを指すか,直接接続する動脈を含めて考えるか】

登録日: 2017.01.11 最終更新日: 2025.09.20

寺田純雄 (東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科神経機能形態学分野教授)

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ウィリス動脈輪は内頸動脈,前大脳動脈,前交通動脈,後交通動脈および後大脳動脈で構成されていると理解していますが,脳底動脈や中大脳動脈はウィリス動脈輪の構成血管に含まれるのでしょうか。脳底動脈を構成血管として記載している成書もありますが。

(質問者:東京都 K)


【回答】

ヒトの脳では,前方循環を担当する内頸動脈系の動脈群と後方循環を担当する椎骨脳底動脈系の動脈群とが脳底部において吻合し,独特な大脳動脈輪を形成します。この構造は英国人の解剖学者・神経学者Thomas Willis(1621~75)により記載され,Willis動脈輪と呼ばれています1)

動脈輪本体の輪状構造を構成する血管群は,ご質問にある通り,内頸動脈,前大脳動脈,前交通動脈,後交通動脈,後大脳動脈です。内頸動脈,前大脳動脈,後大脳動脈といった動脈輪そのものを構成し,かつ動脈輪に同名の血管が直接接続するもの以外に,中大脳動脈と脳底動脈が動脈輪に接続する形をとります。

したがって,動脈輪を直接構成する血管のみを構成要素とする場合は,内頸動脈,前大脳動脈,前交通動脈,後交通動脈,後大脳動脈を構成血管とし,動脈輪に直接接続する血管も含めて考える場合は,上記に加えて中大脳動脈と脳底動脈を含めることになります。動脈輪と呼称される場合,実際には,それが輪状構造のみを指しているのか,それとも輪状構造に直接接続する動脈を含めているのかを確認する必要があります。


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