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開胸心マッサージの適応と手技は? 【蘇生的開胸術(ERT)の一目的として位置づけされており,機器用意の迅速性が重要】

登録日: 2016.11.02 最終更新日: 2025.09.20

福間 博 (りんくう総合医療センター副医長/大阪府泉州救命救急センター/重症外傷センター) 松岡哲也 (りんくう総合医療センター/大阪府泉州救命救急センター副病院長/重症外傷センター)

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開胸心マッサージの適応について教えて下さい。皮切の加え方,開胸部位,心膜の切開方法,などに一定のガイドラインはありますか(心外傷などの場合は,状況に応じてということでしょうが)。

(質問者:兵庫県 K)


【回答】

開胸心マッサージは原則,外傷性心停止症例に適応されます。外傷診療領域には,蘇生的開胸術(emergency resuscitative thoracotomy:ERT)という手技があり,開胸心マッサージはERTの目的のひとつと位置づけされます。ERTのその他の目的には,心タンポナーデの解除,心損傷・胸腔内出血の止血,空気塞栓の予防,胸部下行大動脈の遮断などがあります。

開胸心マッサージの適応は,①目撃のある胸部鋭的損傷患者で院外心停止が15分まで,②目撃のある胸部以外の鋭的損傷患者で院外心停止が15分まで,③目撃のある鈍的損傷患者で院外心停止が10分まで,とWestern Trauma Association Algorithmsで規定されています。

次に,手術手技について解説します。患者を仰臥位とし,前側方アプローチで開胸します。皮膚切開は,左第4肋間または乳頭直下の肋間(女性の場合は,乳房下縁の肋間)を指標とし,メスで胸骨左縁から中腋窩線まで肋間に沿って切開します。ついで,肋間上縁をクーパーで切開し,壁側胸膜を破り迅速に開胸します。この際,切開部位の止血は不要であり,迅速に開胸することを最優先事項とします。


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