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第2世代ABLチロシンキナーゼ阻害薬の長期の副作用  【重篤な副作用をマネージし長期生存をめざす】

登録日: 2016.05.14 最終更新日: 2025.09.20

田内哲三 (東京医科大学血液内科准教授) 大屋敷一馬 (東京医科大学血液内科主任教授)

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初発慢性骨髄性白血病症例に対するこれまでの標準治療法はイマチニブであったが,第2世代ABLチロシンキナーゼ阻害薬(ABL TKI)であるニロチニブ,ダサチニブがそれぞれの第3相臨床試験においてイマチニブより高い効果を示し,現時点ではイマチニブ,ニロチニブ,ダサチニブの3薬剤がNCCNの治療ガイドライン Version 2, 2012にて第一選択薬として推奨されている。ABL TKIの構造を比較するとニロチニブはイマチニブと構造上の類似性が認められるが,ダサチニブはまったく異なった化学構造を有しており,この化学構造の相違が標的分子の違いとなる。ニロチニブはイマチニブよりもさらにABLに対して選択的に阻害する薬剤として登場した。
一方,ダサチニブは多数のキナーゼをoff-targetとして阻害する。標的となるキナーゼの違いが副作用のプロファイルの違いになる(文献1)。第2世代ABL TKIの長期毒性はイマチニブよりも重篤なものが多く,副作用管理が重要であり,長期的な安全性はイマチニブのほうが高い。ニロチニブの代表的な副作用としては,肝機能障害,ビリルビン値の上昇,QTc時間の延長,高リパーゼ血症,高血糖が挙げられる。近年,PAOD(末梢動脈血管閉塞症)が報告され,ハイリスク症例では注意喚起が必要である。
ダサチニブの代表的な副作用には,胸水貯留,出血傾向,肺高血圧と,生命予後に重篤なものがあり,長期投与例では厳重な管理が必要である。

【文献】


1) Giles FJ, et al:Leukemia. 2009;23(10):1698-707.


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