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LVAD(左心補助人工心臓)の現状 【植込み型の1年生存率は約90%。待機期間の延長に伴い,destination therapyの適正化が図られている】

登録日: 2016.10.21 最終更新日: 2025.09.20

長友大輔 (佐賀大学循環器内科) 野出孝一 (佐賀大学循環器内科教授)

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臨床現場において実施される補助人工心臓の大半が左心補助(left ventricular assist device:LV AD)であり,その適応は1997年にわが国で心臓移植が再開されて以来,移植までの橋渡し治療(bridge to transplant:BTT)が主流である。劇症型心筋炎など心機能の回復も期待される病態では離脱をめざすこともある(bridge to recover:BTR)。

わが国では長らく体外式のみであったが,2011年に植込み型LVADが保険償還されて以来,16年5月時点で500例を超える植込みが行われている。J-MACSレジストリによると,1年生存率は約90%と,従来型の体外式LVADや海外の植込み型LVADの生存率を大きく凌駕している。

わが国では植込み型LVADはBTTに限定されており,従来の体外式と違い移植待機中に患者は退院でき,生命予後のみならず患者の待機中QOLにも大きく寄与している。しかし,移植待機患者の生命予後改善や移植登録患者の増加,深刻なドナー不足などにより移植待機期間が延長している。11年以前は約2年であったが,現在は3年を超える。また,急変や急性発症のケースで移植申請が間に合わない場合は,従来の体外式LVADを装着せざるをえず,それによる合併症や入院期間の延長などが生じうる。また,欧米では多く行われている,移植を前提としない植込み型LVADの使用(destination therapy:DT)についても,現在その適正化が図られている。

【参考】

▶ J-MACSレジストリ,日本心臓移植研究会:2014.
[http://www.mhlw.go.jp/file.jsp?id=147446& name=0000013474.pdf]

【解説】

長友大輔,野出孝一 佐賀大学循環器内科 教授


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