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就寝前の家庭血圧測定における入浴後経過時間の考慮

登録日: 2015.08.15 最終更新日: 2025.09.20

星出 聡 (自治医科大学循環器内科学部門准教授)

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【Q】

『高血圧治療ガイドライン2014』では,夜の家庭血圧測定のタイミングは「就寝前」となっています。就寝前に入浴する患者の場合,入浴直後と,時間経過後では血圧値の測定結果にばらつきが生じる可能性があります。どのように指導すればよいですか。 (愛知県 N)

【A】

『高血圧治療ガイドライン2014』においては,夜の家庭血圧測定のタイミングは「就寝前」となっていますが,これを根拠とする理由は,実はほとんどありません。
欧州のガイドラインでは,夜の家庭血圧測定は「夕食前」となっています。ただ,これを日本のガイドラインに当てはめていいかどうかは,文化や習慣の違いもあり難しいところです。特に,浴槽に入るという習慣は日本など一部の国に特有のものであり,それらを考慮すると余計に混乱するところです。
通常,入浴後は血管拡張により血圧が低下することが多いと思われますが,この現象がみられるのは若年者のみで,高齢者はむしろ血圧は上昇するという報告があります(文献1)。入浴後の血圧への影響がどのくらい継続するかを検討した研究もあり,その影響は1時間を過ぎればなくなるとされています(文献2)。
したがって,もし入浴後に家庭血圧を測定する指導を行う場合には,“入浴後1時間空けて”と指導するのが妥当と思われます。

【文献】


1) Nagasawa Y, et al:Jpn Circ J. 2001;65(7):587-92.
2) Kawabe H, et al:Hypertens Res. 2006;29(3):129-33.


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