厚生労働省は10月19日の社会保障審議会介護給付費分科会で、訪問介護の「同一建物減算」について、移動コストやサービス提供の実態を反映した報酬区分への見直しを提案した。戸建て住宅と集合住宅では訪問に伴う移動負担などが異なることを踏まえたもの。10月14日の分科会では、通所介護についても同様の見直し案が示されている。
現行制度では、訪問介護事業所と同一敷地内や隣接する敷地内の建物などに居住する利用者へのサービス提供について、利用者数などに応じて基本報酬を減額する仕組みが設けられている。
厚労省が示した調査結果によると、集合住宅に住む利用者への主な訪問手段は「徒歩」が46.4%を占め、「自動車」の34.4%を上回った。一方、戸建て住宅では「自動車」が82.1%を占めた。また、徒歩による訪問は自動車などに比べて訪問回数が多く、徒歩で訪問する利用者の割合が高い事業所ほど、請求単位数も多い傾向がみられた。集合住宅の利用者の43.2%は、事業所と同一敷地内または隣接する敷地内に居住していた。
こうした実態を踏まえ、厚労省は事業所の規模や移動コスト、サービス提供回数などを考慮した報酬区分への見直しを提案。「基本報酬を区分した上で、戸建て住宅への訪問を中心に展開している事業所と集合住宅への訪問を中心に展開している事業所の特徴や質、収支状況を丁寧に把握して検討することなどが考えられる」と説明した。
委員からは見直しに賛成する意見が出た一方、居住形態による報酬の差に慎重な意見もあった。江澤和彦委員(日本医師会常任理事)は「居住する場所や環境で同じサービスの単価や利用者負担が異なることは本来あってはならない」と指摘。今村文典委員(日本介護福祉士会会長)も「集合住宅にも認知症や重度の要介護状態により専門的な支援を必要とする利用者は居住している。住まいの形態のみを理由に必要な介護の評価が損なわれてはならない」と訴えた。
■訪問看護ではオンライン診療補助やICT連携の評価新設を提案
訪問看護については、26年度診療報酬改定での対応を踏まえ、看護師等がD to P with Nによるオンライン診療を補助した場合や、訪問看護ステーションが地域の医療機関等とICTを用いて情報連携した場合の評価を新設することを提案した。
このほか、訪問看護ステーションの理学療法士等による訪問についても、サービスの提供体制や実績を踏まえた評価の見直しが提案された。