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成年後見制度はどう変わる?[先生、ご存知ですか(104)]

登録日: 2026.10.25 最終更新日: 2026.10.25

一杉正仁 (滋賀医科大学社会医学講座教授)

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成年後見制度とは

認知症などにより十分な判断能力を失っても、社会的な不利益を被らないように、民法で成年後見制度が規定されています。成年後見制度には、法定後見制度と任意後見制度の2種類があります。

法定後見制度とは、本人の判断能力が不十分になった後に、家庭裁判所により選任された成年後見人、保佐人、または補助人が本人を支援する制度です。任意後見制度とは、本人の判断能力が十分なときに、任意後見人や委任する事務を契約で定め、本人の判断能力が不十分になった後に、家庭裁判所により選任された任意後見監督人の監督のもと、任意後見人が本人を支援する制度です。

たとえば、認知症のある高齢者に代わって、成年後見人等が財産の管理、介護サービスや施設入所の手続きなどを行います。家庭内のトラブルなどがある場合には、親族以外が成年後見人等に選任されることもあります。親族以外では、弁護士、司法書士、社会福祉士が選任されることが多いですが、月額の報酬が必要とされます。

成年後見制度の利用者数は増加しており、2020年は23万2287人でしたが、2025年には25万9901人となっています。

問題点をふまえ、制度を大きく見直し

成年後見制度をめぐっては、様々な問題点が指摘されてきました。いったんこの制度を利用すると、施設入所の手続きなど、必要な支援が終了した後も、本人の判断能力が回復しない限り、制度の利用を終了することができません。また、成年後見人には包括的な取消権、代理権があり、本人の自己決定が必要以上に制限される場合があります。さらに、本人の状況の変化に応じた成年後見人等の交代が実現せず、本人のニーズにあった保護を受けられないこともありました。

そこで、2026年6月に「民法等の一部を改正する法律」が成立・公布され、成年後見制度の見直しが行われることになりました。現行制度では、本人の判断能力に応じて、「後見」(判断能力に欠く)、「保佐」(判断能力が著しく不十分)、「補助」(判断能力が不十分)の3類型にわかれていましたが、改正後は「補助」に一元化されます。また、本人にとって必要な支援が終了した際には、判断能力が回復していなくても、制度の利用を終了することができるようになります。さらに、本人の意思をより尊重する仕組みとなります。

改正後は、補助人が職務を遂行するにあたり、本人に情報を提供して話を聴くなど、できる限り本人の意向を確認することが義務づけられます。

医療行為に関する同意は権限外

この制度が始まった当初から、成年後見人等は、本人に代わって、施設入所や医療機関への入院に関する契約を結ぶことなどを前提としていました。しかし、具体的な医療行為について、本人に代わって判断するという権限はありません。

現場では、あたかも成年後見人等が、侵襲的医療行為等に関して本人に代わって同意または不同意できると誤解されているようです。事実、成年後見業務を受任している社会福祉士に対する調査では、「本人が受ける医療行為に関して、医療機関から同意を求められたことがある」と回答していたのは、72.7%でした。その内容は、予防接種、検査、手術、延命措置などでした。

医療現場では、成年後見人等に医療行為に関する決定をゆだねることがないように、ご留意頂きたいです。


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