42大学44病院から構成される国立大学病院長会議は10月2日、記者会見を開き、「令和8年熊本地震」「令和8年千葉豪雨」を振り返り、災害時の医療機能維持に向けて、想定外の事態も含めた事業継続計画(BCP)の見直しや大学病院間の連携強化を進める考えを示した。
大鳥精司会長は、「令和8年千葉豪雨」による増水で千葉大附属病院の地下排水処理設備が故障し、医療機器の洗浄・滅菌機能が停止した事例を紹介。同院では手術器具の洗浄・滅菌ができなくなり、手術を全面中止せざるを得ない状況となった。近隣病院への業務分散を検討したものの業務の特殊性から対応が難しく、東京科学大学の協力を得て夜間に洗浄・滅菌を行い、翌朝6時に千葉大病院に搬入、5日後から一部の手術を再開できたという。大鳥会長は「材料部が災害で機能しなくなることは全くの想定外」と述べ、今後豪雨被害などの影響も考慮した上で病院運営を行う必要があるとの考えを示した。
熊本大病院では、「令和8年熊本地震」の発災時に多数の患者を受け入れる一方、交通網の寸断により医師派遣が困難となった地域に対し、平時から構築していた遠隔医療体制「Teradoc」を活用し、オンライン診療や診療支援を実施した。平井俊範病院長は「災害時に機能する遠隔医療体制を平時から整備していくことの重要性を、改めて実感している。今後はこの連携を県内全体の中核病院に広げ、災害に強い地域医療体制の構築につなげていく」と述べた。
その上で平井氏は、災害時における診療情報の確認が課題と指摘した。同院へ多くの患者が避難した際、電子カルテが使用できなくなり、診療情報を十分に確認できない状況が生じたことを受け、クラウド上に情報を保存し、電子カルテが使用できない場合でも必要な情報を取り出せる仕組みが重要と強調した。
大鳥病院長は「我々が予想もしない災害事態は起こりえる」とし、何が起きても医療を寸断することがないよう国立大学病院長会議で連携していく姿勢を強調した。

災害時の医療機能維持に向けた取り組みについて説明する大鳥会長