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【識者の眼】「わが国の病院運営の岐路②〜病床利用の評価と病院総合診療医(ホスピタリスト)」田妻 進

登録日: 2026.10.08 最終更新日: 2026.10.08

田妻 進 (日本病院総合診療医学会理事長、県立二葉の里病院顧問・名誉院長)

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前稿(No.5315)において取り上げた2025年下半期の某オンライン調査での、「過去1年で『入院の必要性が低い患者』を受け入れた医師が45%」という気がかりな結果をふまえて、病床利用率(あるいは病床稼働率)の望ましい目標値について考察し、その上で病院総合診療医(ホスピタリスト)の位置づけ・果たすべき役割を提起したいと思います。

『病床利用率・病床稼働率の目標値』という表現は、多分に病院経営の視点を主体としています。しかし、本来、病床は社会インフラの一環として整備されるべきものです。地域の医療実態に基づいて必要量を計測し、その地域の医療提供体制の中で適切に配置されるべきものです。したがって、足元の疾病構造や医療需要の変動を分析し、短期的・中期的な視点に立って病床機能と病床数を適宜調整するとともに、それぞれの医療機関が地域の実情に応じて病床利用・稼働のあり方を設定する即応性こそが、理想的な運用形態と考えられます。よって、地理的な特性やプライマリ・ケアの実態に応じて、臨機応変に『病床利用率・病床稼働率の目標値』を設定することが必要です。

そこで、現下の医療提供体制の課題を整理してみましょう。すぐに思い浮かぶキーワードは、「人口減少」「行動変容」「医療需要の構造変化」です。人口減少により医療現場の人材確保が困難になりつつあること、次に患者自身やその家族の行動変容により医療施設の経営が悪化し、地域医療の維持が危ぶまれていること、そして、医療需要の構造が「入院による収容型」から「地域が生活を支援する在宅型」へと移行し、病院の役割が様変わりしつつあるということです。その動向を念頭に置き、地域医療の構造改革が加速する中で『病床利用率・病床稼働率の目標値』を考えるとき、改めて病院総合診療医の役割がクローズアップされるのではないでしょうか。

“病院総合診療専門医”は、総合診療専門医にとどまらず、各種の基本領域専門医・認定医を起点とするサブスペシャルティとして位置づけられ、急性期から慢性期まで、病院における様々なケアを担い、多職種からなる医療チームの中でリーダーシップを発揮することが期待されています。その守備範囲は重層的で、各医療施設が担うべき役割に応じて機能することが期待されます。

加えて、収容型から在宅型へと変化しつつある地域医療の構造変化に即応する資質を備えています。地域連携の中で地域包括ケア病床をフィールドとして、院内においては急性期病棟からの転棟患者の、院外との連携においては登録患者の直接受け入れなど、病院と地域をつなぐ現場対応を担うホスピタリストが、従来にも増して真価を発揮するものと思われます。

岐路に立つ病院運営において、病院総合診療医(日本版ホスピタリスト)の活躍が、地域の医療需要に即した病床利用の実現につながることを期待しています。

田妻 進(日本病院総合診療医学会理事長、県立二葉の里病院顧問・名誉院長)[病院運営][病院総合診療医][ホスピタリスト]

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