膠原病編④ 日本プライマリ・ケア連合学会監修
本連載では,日本プライマリ・ケア連合学会/全日本病院協会が実施している「総合医育成プログラム」の中から,選りすぐりのクリニカルパールを紹介します。
◆ 近位部関節痛では肩・股関節周囲を実際に診察する。
◆ 関節痛+炎症反応高値では6 stepsでmimickerを整理する。
◆ 治療反応不良や再燃では診断を見直す。
はじめに:その両肩痛,PMR?
75歳,男性。2週間前から発熱,頭痛,両肩~上腕痛が出現し,両上肢を挙上しにくくなった。明らかな関節腫脹や皮疹はないが,ESR 87mm/時,CRP 21.09mg/dLと炎症反応は著明に上昇していた。高齢者の急性発症の両肩痛では,リウマチ性多発筋痛症(polymyalgia rheumatica:PMR)を想起する。しかし,分類基準に当てはめるだけでPMRと診断してよいのだろうか。
Question 1:PMRは分類基準で診断できる?
「2012 欧州リウマチ学会(EULAR)/米国リウマチ学会(ACR)PMR分類基準」では,50歳以上,両肩痛,CRPまたはESR上昇を必須条件とし,朝のこわばり,股関節痛・可動域制限,RF/ACPA陰性,他関節痛の欠如などを点数化する(表1)1)。しかし,超音波なしで感度68%・特異度78%,超音波ありでも感度66%・特異度81%にとどまる1)。そもそも分類基準は研究対象を均質化するためのもので,診断基準ではない。「2025 EULAR recommendations」でも,PMR,巨細胞性動脈炎(giant cell arteritis:GCA),高安動脈炎(Takayasu arteritis:TAK)の診断は,症状・身体所見を基盤とし,分類基準を診断に用いるべきではないと明記されている2)。

ここで重要なのが「関節痛+炎症反応高値の6 steps」である(図1)。①細菌感染症,②ウイルス感染症・性感染症,③薬剤性,④内分泌疾患,⑤関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)や血管炎などの膠原病,⑥傍腫瘍性リウマチ症候群を順に検討し,かつPMRが臨床像に最も適合すれば,PMR診療へ進む。
