欧米における2型糖尿病(DM)に対する血糖降下薬の第一選択はメトホルミンである。UKPDS34というエビデンスが存在するからだ。同試験においてメトホルミン追加は食事療法単独に比べ、肥満を伴う新規診断2型DM例の10.7年間(中央値)「糖尿病関連イベント」と「糖尿病関連死」・「総死亡」をいずれも、有意に減少させた[Lancet. 1998]。このようなエビデンスを持つ血糖降下薬はほかにない。
ではこのメトホルミンの代わりにSGLT2阻害薬を使えないか。というのも、同剤でも大血管症抑制作用が、心血管系(CV)高リスク2型DM例では証明されているからだ。
そのような発想から実施されたのが、ランダム化比較試験(RCT)"SMARTEST"である。そしてその結果が9月28日からミラノ(イタリア)で開催された欧州糖尿病学会(EASD)学術集会にて報告された。本RCTは研究者主導で、製薬会社からの資金提供は受けていない(SGLT2阻害薬代のみ製薬会社が負担)。ウプサラ大学(スウェーデン)のJan W Eriksson氏が、主要結果を報告した。
SGLT2阻害薬は2型DMへの治療開始薬として、メトホルミンに取って代わるわけにはいかないようだ。
SMARTEST試験の対象は、2型DM診断から4年以内で血管系疾患既往や腎機能低下を認めない2072例。SGLT2阻害薬(ダパグリフロジン10mg/日)群とメトホルミン(1000~3000mg/日)群にランダム化され、盲検化されることなく観察された。DM診断からランダム化までの期間は、平均およそ1年間だった。対象の平均年齢は61歳、BMI平均で31kg/m2である。
1次評価項目は「死亡・重篤CV疾患・細小血管症」とされた。重篤CV疾患の内訳は「心筋梗塞・脳卒中・心不全」。「細小血管症」は「網膜症・腎症・糖尿病性足病変の発症/増悪」である。
その結果、平均3.8年間の「死亡・重篤CV疾患・細小血管症」発生率は両群とも41%で有意差はなかった(試験の検出力に問題なし)。この結果は「死亡」「重篤CV疾患」「細小血管症」別に比較しても同じで、いずれも両群間に有意差はなかった。また傾向が異なる亜集団もなかった。
重要なのは、血糖降下薬服用歴のない605例のみで検討しても同様の結果だったという点である(「服用歴の有無」による交互作用P値は0.96)。2型DM例の「治療開始薬」としても、SGLT2阻害薬はメトホルミンを上回らなかった。そしてこの点も肝要なのだが、メトホルミンに対するSGLT2阻害薬の「非劣性」の有無は、本試験で検討されていない。つまり「非劣勢」であるかどうかは不明である。
「SMARTEST試験の結果は(早期2型DM例に対する)メトホルミンをSGLT2阻害薬へ切り替えるよう促すものではない」。次いで登壇したルンド大学(スウェーデン)のLouise Bennet氏はこのように結論している。
本試験に資金を提供したのは、スウェーデン研究評議会、スウェーデン政府機関(VINNOVA、ALF)、スウェーデン心肺基金とルンド大学(EXODIAB)である。