厚生労働省は9月30日の社会保障審議会介護給付費分科会に、2027年度介護報酬改定に向けた「基本的な視点(案)」を提示した。年内にとりまとめ予定の27年度改定に関する審議報告のたたき台となるもので、介護サービス事業者の経営安定化のために物価・賃金の上昇等を介護報酬に適切に反映させる方針を明示した。
「基本的な視点(案)」は、「改定に当たっての基本認識」と「介護報酬改定に向けた基本的な視点」で構成される。基本認識では、物価・賃金の上昇や様々な経費の増加で事業者の経営が危機的状況にある中、他産業では賃上げが進んでいることなどを鑑みると、経営の安定化とさらなる処遇改善が必要と指摘。制度の持続可能性の確保や保険料負担抑制の観点からの給付と負担のあり方の見直しや、地域ごとの実情に応じたサービス提供体制確保の必要性も示した。
その上で、基本的な視点には①物価・賃金の上昇等への対応と処遇改善、②人口減少・サービス需要に応じたサービス提供体制の構築、③地域包括ケアシステムの深化、④職場環境の改善と生産性向上を通じたサービスの質の向上及び介護人材の確保、⑤制度の安定性・持続可能性の確保─の5項目を据えた。
①では、事業者の経営状況や介護分野の賃上げの状況等を適切に把握した上で、物価・賃金の上昇等を介護報酬に適切に反映し、経営の安定化を図るとともに、他職種と遜色のない処遇改善を実現。④では、職場環境の改善につながる取り組みに加え、AI等の介護テクノロジーの活用やタスクシフト/シェアを通じた生産性向上を推進し、職員の負担軽減と介護サービスの質の確保・向上につなげる考えを示した。
⑤では、必要な介護サービスを確保することを前提に、介護報酬の適正化・重点化や報酬体系の整理・簡素化に取り組む姿勢を示した。
■物価・賃金上昇等の反映、給付と負担の見直しと一体的に議論すべき
こうした方向性に異論は出なかったが、物価・賃金の上昇等の介護報酬への反映や処遇改善はいずれも給付費の増加につながることから、高齢者を含む保険料負担が上昇することのないよう、給付と負担のあり方の見直しと一体的に議論するべきだとの意見が示された。