年1回くらいは経験するけれども,いざ出会ったときに困る症例を共有!
症例 60歳代,男性
●病歴
生来健康であった。来院6カ月前から物忘れや判断力の低下が目立つようになった。来院3カ月前から両上肢・口周囲に不随意運動が出現し,歩行が不安定になった。近医を受診したところ,本態性振戦が疑われ,アロチノロール塩酸塩とジアゼパムが処方された。その後も症状が改善せず,精査目的に当院を受診した。既往歴・家族歴に特記すべき事項はない。
●主な身体所見・神経学的所見
Mini-Mental State Examinationは16/30点,Frontal Assessment Batteryは12/18点であり,注意・遂行機能障害を認めた。両眼球は多方向性に不規則かつ急速に動き,オプソクローヌスと判断した。歩行は開脚位で,四肢・体幹失調がみられた。入院時に口周囲の不随意運動は明らかでなかったが,両上肢にミオクローヌスを伴っていた。四肢腱反射亢進,痙性に加え,吸引反射・口尖らし反射・手掌頤反射が出現していた。また,便秘および頻尿も認めた。
●主な検査所見
血液検査:血算,生化学,腫瘍マーカーに明らかな異常は認めなかった。
髄液検査:単核球優位の細胞数増加,TP上昇,オリゴクローナルバンド陽性を認めた。
頭部・脊髄MRI(図1):脳室周囲および皮質近傍に卵円形病変がみられ(図1a),造影T1強
調像では脳室周囲から放射状に伸びる線状の血管周囲造影効果を認めた(図1b)。頸髄から胸髄にかけては,長軸方向に広がる髄内病変(脊髄長大病変)を伴っていた(図1c〜f)。

123I-IMP脳血流SPECT(図2):両側前頭葉・頭頂側頭葉の血流低下および小脳の血流増加を認めた。

脳波:両側前頭部優位の徐波を認めた。
全身CT,18F-FDG PET:明らかな腫瘍性病変を認めなかった。
