東京都医師会は9月8日の定例記者会見で、2027年度東京都予算に対する13項目の重点要望を公表した。要望書は8月26日に都に提出しており、13項目のうち7項目が新規。高齢者施設利用者のワクチン接種費用の無償化などを求めている。
会見で尾﨑治夫会長は、人口が減らないまま高齢化が進む東京では「病気になった人を治すだけでなく、病気にならない人を増やしていくことが大事」と指摘。都医として①ワクチン接種、②健診・検診体制の見直しとタバコ対策の強化、③フレイル・認知症予防─の3本柱で予防医療を推進する考えを示した上で、特に高齢者施設利用者のワクチン接種費用の無償化を強く要望していくとした。
健診・検診に関しては、新たな検査の導入を要望した。具体的には「尿中微量アルブミン検査」「NT-proBNP心不全予防検診」「便中ピロリ菌抗原検査」の導入を求めている。
■下水サーベイランス強化を感染症対策として要望
このほか感染症対策では、下水に含まれるウイルスや細菌の遺伝子量を測定し、地域の感染状況を把握する「下水サーベイランス」の強化を新たに要望した。川上一恵副会長は、新潟大学などの研究で、小児に重症呼吸器感染症を引き起こすエンテロウイルスD68を、入院患者の増加より約5週間早く下水中から検出した例を紹介。「流行前にある程度予測することで、病床の確保や予防対策を早めることが可能になる」と意義を説明した。
東京都予算に対する13項目の重点要望は以下の通り。
1. 高齢者施設利用者のワクチン接種費用の無償化
2. 児童生徒のメンタルヘルス対策の強化
3.新たにスタートした「区市町村在宅療養推進事業」への支援と検証(新規項目)
4. 深刻さを増す医療介護人材不足への支援
5. TOKYOオレンジ医療システムの充実(新規項目)
6. フレイルサポート医地域連携支援事業のさらなる拡充(新規項目)
7. 医療経営状況調査の継続と東京の医療レベル維持のための支援
8. 医療介護福祉をまとめた通信訓練の実施(新規項目)
9. 医療DXの推進
10. 加熱式タバコに対する規制強化
11. 下水を用いた感染症サーベイランスの強化(新規項目)
12. 学校医の系統的研修システムの構築(新規項目)
13. 積極的予防医療に向けて健診・検診における新規検査導入の推進(新規項目)

2027年度東京都予算への重点要望について説明する尾﨑治夫会長(9月8日の定例記者会見)