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■NEWS 【欧州心臓病学会(ESC)】DOACは本当に現行適応より低リスクAF例で有用なのか:RCT"SINGLE-AF"をめぐる諸問題

登録日: 2026.09.07 最終更新日: 2026.09.07

宇津貴史 (医学レポーター/J-CLEAR会員)

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現在欧米の心房細動(AF)ガイドラインでは、CHA2DS2-VAScスコア「1の男性」「2の女性」に対する経口抗凝固薬(OAC)は、推奨度「Ⅱa」(考慮可)である。この有用性を直接検討したランダム化比較試験(RCT)が存在しないためだ。

そこで韓国ではこの有用性を直接証明すべく、そのような脳塞栓症「非」高リスクAF例を対象としたRCT"SINGLE-AF"が実施され、8月28日からミュンヘン(ドイツ)で開催された欧州心臓病学会(ESC)学術集会で報告された。報告者は延世大学(韓国)のDaehoon Kim氏。

全体としてはポジティブな結果だが、細かく見ると臨床への応用にあたっては注意が必要なようだ。ESCにおける議論を含めて紹介したい。

SINGLE-AF試験の対象は、上述のようにCHA2DS2-VAScスコア「1の男性」と「2の女性」である。他疾患でOACが必要となる例は除外されている。1800例が直接作用型OAC (DOAC)「服用」群と「非服用」群にランダム化され、盲検化されることなく2年間観察された。

平均年齢は60歳。65歳以上は30%強のみだった。また75%強を男性が占めた。AFは70%以上が「発作性」だった。指定討論者であるフローニンゲン大学(オランダ)のIsabelle C Van Gelder氏は「本試験の結果がより高齢、あるいは女性のAF例に当てはまるかは不明」と述べている。

そして結果だが、1次評価項目である2年間の「心血管系(CV)死亡・脳卒中・塞栓症・大出血」ハザード比(HR)は、DOAC「服用」群で「非服用」群に比べ0.31の有意低値となっていた(発生率は0.5 vs. 1.5%)。ただし治療必要数(NNT)は2年間で「100」である。

この結果について指定討論者のVan Gelder氏は、以下を指摘した。

まず「脳卒中」だが、発生率こそ「0.3 vs. 1.1%」と「服用」群で低値となっていた(NNT:125)。しかし「脳出血」は「非服用」群が皆無だったのに対し「服用」群では2例(0.2%)で発生していた(脳卒中は全3例)。このリスクをどのように評価すべきか。

次は「大出血」である。「非服用群の発生率が想定よりも高い」と同氏。発生率はDOAC「服用」群の0.3%に対し「非服用」群では0.5%だった。意外ではないだろうか。この背景にあるのが、「非服用」群における「不適切な抗血小板薬処方」である。全体の36.5%(329例)が何らかの抗血小板薬を処方されていたが(「服用」群は0.4%[4例]のみ)、そのうち適応があったのは10%(33例)のみだった(本試験は非盲検)。不適切な抗血小板薬処方がなければ、「非服用」群における大出血発生率はどこまで低下していただろう。

そして試験の「イベント数」にも問題があるという。当初の統計設計では上記1次評価項目の発生率をDOAC「服用」群「2.0%」、「非服用」群「4.5%」と設定し統計設計が行われた。しかし実際には「0.5%」と「1.5%」である。両群間に本当に有意差が存在しているか疑問が残ると、Van Gelder氏は指摘していた。

SINGLE-AF試験は韓国政府機関、並びに三真製薬と韓美薬品(いずれもDOACを発売)から資金提供を受けた。

また本試験は報告と同時にNEJM誌ウェブサイトで公開された。


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