検索

×
絞り込み:
124
カテゴリー
診療科
コーナー
解説文、目次
著者名
シリーズ

複視,眼球突出と言えば甲状腺眼症だが……[〈出会ったときに意外と困る!〉脳神経内科[年イチ]症例集(8)]

登録日: 2026.09.03 最終更新日: 2026.09.03

横手明義 (公立豊岡病院組合立豊岡病院神経内科医長)

お気に入りに登録する

年1回くらいは経験するけれども,いざ出会ったときに困る症例を共有!

関連記事はMedixpostをチェック→

症例 60歳代,男性

●病歴

2週間前に感冒様症状を認めた。その後,1週間前より複視とふらつきを自覚した。複視が徐々に増悪し,日常生活に支障をきたすようになったため近医を受診したところ,眼球突出を伴う眼球運動障害を指摘され,甲状腺眼症(thyroid eye disease:TED)疑いで当科紹介となった。発症は比較的急性であり,数日の経過で症状が進行していた。既往歴として高血圧を認めるが,そのほか特記すべき事項はなかった。

●主な身体所見・神経学的所見

意識は清明で,見当識も保たれていた。視力は両眼とも良好であり,瞳孔径は左右同大,対光反射は正常で,相対的瞳孔求心路障害(relative afferent pupillary defect:RAPD)は認めなかった。

眼球運動は全方向で著明に制限されており,特に水平方向の運動障害が顕著であった。垂直方向の眼球運動はわずかに保たれていたが,十分とは言えなかった。軽度の眼瞼下垂を認めたが,眼痛や結膜充血,眼窩周囲腫脹などの炎症所見は認めなかった。

四肢の筋力低下や感覚障害は認めなかったが,深部腱反射は全体的に低下していた。指鼻試験や踵膝試験は明らかな異常を認めなかったものの,継足歩行試験では軽度の不安定性を認めた。Romberg徴候は陰性であった。これらの所見から,明らかな四肢失調はないものの,軽度の体幹失調の関与が示唆された。

●主な検査所見

Hertel眼球突出計測では,右14mm,左16mmであった。一方,画像上は,右22mm,左23mmであり,少なくとも画像上は眼球突出を示唆する所見であった。

血液検査では,TSH 4.23mIU/L,FT4 1.06ng/dLと甲状腺機能はほぼ正常範囲であったが,抗Tg抗体562IU/mL,抗TPO抗体1130IU/mLと高値を示した。

TRAbは陰性であった。これらの所見から自己免疫性甲状腺疾患の存在が示唆されたが,甲状腺機能異常は認めなかった。

髄液検査では,細胞数3/μL,TP 70mg/dLと軽度の蛋白細胞解離を示唆する所見を認めた。

MRIでは,涙腺腫大,眼窩腫瘍,海綿静脈洞部硬膜動静脈瘻(cavernous sinus dural arteriovenous fistula:CSdAVF)を示唆する所見はいずれも認めなかった。

外眼筋の腫大は認めず,むしろ萎縮および脂肪変性を疑う所見であった(図1)。造影効果や浮腫性変化といった活動性炎症を示唆する所見も認めなかった。眼窩炎症性疾患や腫瘍性病変は否定的であった。

プレミアム会員向けコンテンツです(連載の第1~3回と最新回のみ無料会員も閲覧可)
→ログインした状態で続きを読む


1