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なぜ,退院支援は「退院が決まってから」では遅いのか?─「入院初日」に医師がやるべきこと[研修医・専攻医のためのDPC超入門(5)]

登録日: 2026.09.01 最終更新日: 2026.09.01

高田史門 (医療法人純徳会田中病院院長)

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5 明日からできること─「退院の解像度」を,チームで上げる

第1回で,「退院の解像度を上げる」という話をした。退院基準,退院目標日,療養場所,今日やるべきこと─この4つを意識する,という話だった。第5回では,これを「チームで」上げるという視点に進めたい。

入院した患者さんを診たとき,下記のように自問してほしい。

①退院支援が必要な人か?
②生活面の課題は何か?
③退院後に医療的ケアは必要か?
④在宅復帰の身体機能はあるか?

この4つを,入院初日から意識する。そして,自分ひとりで抱えず,それぞれの専門職につなぐ(表1)。

「退院の解像度」は,1人で上げるものではない。チーム全体で,多職種の目を通して,初めて高い解像度になるのだ。

冒頭の研修医は,その日のうちにMSWに相談し,退院調整看護師とも情報を共有した。翌週には要介護認定の申請が始まり,自宅環境の調整も動き出した。

数日後,彼はこう言った。「先生,退院支援って,医師が1人で頑張る仕事じゃないんですね。むしろ,早く気づいて,早くチームにつなぐことが,医師の一番大事な仕事なんだとわかりました」

「その通りだ」と私は答えた。「そして,それは患者さんの『生活』に対する,医師の誠実さの表れでもある。治すだけじゃない。生活に帰すところまで考える─それが,これからの時代の医師に求められる姿勢だよ」

院長のホワイトボード─今日のTake Home Message

▶ 退院支援は「退院が決まってから」では遅い。入院初日から始めるもの

▶ 退院支援の遅れは,経営だけでなく患者の「生活」を止め,新たな害を生む

▶ 要介護認定や環境調整には時間がかかる。「治す」と「生活に帰す」は同時並行で

▶ 退院支援はチーム戦。MSW,退院調整看護師,病棟看護師,リハビリ,薬剤師,栄養士,それぞれの専門性が必要

▶ 医師の役割は,全部を抱え込むことではなく,早く気づいて,早くチームにつなぐこと

▶ カンファレンスで医師がすべきは,支配ではなく正確な医学情報の提供

▶ 「退院の解像度」は,多職種の目を通してチームで上げるもの

▶ 退院支援とは,患者の「生活」に対する医師の誠実さ。治すだけでなく,生活に帰す

次回予告
いよいよ最終回,第6回「あなたの一手が病院を変える」。これまで「医師個人」から「チーム」へと視点を広げてきました。最終回では,さらに視野を広げ,病院全体の視点に立ちます。DPC制度における「機能評価係数Ⅱ」─個々の医師の診療が,どのように病院全体の評価につながり,地域医療を支えているのか。連載の集大成として,お届けします。

【参考資料】

▶ 厚生労働省:令和8年度診療報酬改定について. 入退院支援加算 関連告示・通知.
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html

▶ 厚生労働省:令和8年度診療報酬改定の概要 6.入院(共通事項).
https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001703849.pdf


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