日本医師会は8月5日の定例記者会見で、上野賢一郎厚生労働相が7月21日に示した電子カルテ導入に関する見解を歓迎した上で、医療DXの推進に向けて医療機関への支援や環境整備が不可欠との考えを改めて示した。
電子カルテの導入義務化を巡っては、上野厚労相が7月21日の記者会見で、医療法等改正法に盛り込まれた電子カルテの普及目標について、「目標達成の責任は政府に課されたものであり、医療機関への導入を義務づけるものではない」と説明。また、政府が開発を進める「標準型電子カルテ・導入版」についても、紙カルテを利用する診療所が導入しやすいシンプルな設計とする方針を示した一方、導入自体を義務化する考えはないと明言した。
さらに、2024年3月に公表した電子カルテの標準仕様については電子カルテベンダー向けの指針であり、すでに電子カルテを導入している医療機関にシステム改修や更新を求めるものではないと説明。現在利用している電子カルテは引き続き使用できるとの認識を示した。
日医の長島公之常任理事はこの発言を受け、「日医の目指す方向性と同じものであり、多くの医療関係者の安心につながるものと思われる」と歓迎した。一方、医療DXの推進に当たっては、デジタル化への対応が難しい患者や医療機関への配慮が必要だと強調。「医療DXへの対応が困難な患者が医療を受けられなくなることや、医療関係者が医療を提供できなくなることは避けなければならない」と強調した。
日医が2025年に実施した紙カルテを使用する診療所への調査では、54%が「電子カルテの導入は困難」と回答。理由には高額な導入・維持費のほか、サイバーセキュリティ対策やシステム障害への対応の難しさなどが挙げられた。これを受け、日医は電子カルテの一律義務化に反対し、導入を希望する医療機関については負担なく導入できるよう、国に対して財政支援や環境整備を求めてきた。長島氏は、こうした環境整備を進めることが結果的に電子カルテの普及促進につながるとの考えを示した。
