日本医療機能評価機構は7月15日に公表した「医療安全情報No.236」で、パニック値の連絡を受けた後の対応漏れについて注意喚起した。医師が血液検査のパニック値の連絡を受けたにもかかわらず、対応していなかった事例の報告が2023年1月〜26年5月までの間に6件あったため。
パニック値とは、「生命が危ぶまれるほど危険な状態にあることを示唆する異常値」とされ、速やかな対応が必須。今回の医療安全情報では2事例の発生経緯を紹介した。
1事例目は、肺がんに対する化学療法目的で入院した患者で起きた。当該患者は糖尿病も有しており、入院当日の血液検査でのグルコースは518mg/dLだった。
パニック値であったため臨床検査技師は主治医に検査値を電話連絡したが、主治医は対応しなかった。また、看護師は血液検査の結果を見ておらず、薬剤師はグルコースが高値であることに気づいたが、パニック値だとは思わなかった。
患者は予定通り化学療法を受け、3日で退院したが、退院から3日後に自宅で倒れていた患者を家族が発見。救急搬送された。検査の結果、高浸透圧高血糖状態と診断され、治療を開始した。その後、前回入院時のグルコースのパニック値に対応していなかったことが明らかになった。
事例2の患者は慢性腎臓病での外来受診の1週間前に血液検査のために来院。クレアチニンが9.5mg/dLだったことから、臨床検査技師は外来主治医Aにパニック値であることを電話で連絡した。だが、外来診療で忙しかった外来主治医Aは対応しなかった。
血液検査から4日後、家族から患者の意識が混濁しているとの電話があり、医師Bが検査結果を確認したところ、クレアチニンのパニック値に対応していなかったことに気づいた。患者は入院後に腎不全の治療を開始した。
事例が発生した医療機関では再発防止のため①臨床検査技師が医師にパニック値の連絡を行う際には数値だけでなく、パニック値であることを伝えて認識を促す、②パニック値の連絡後に医師が対応したかを確認する仕組みを院内で検討する─といった取り組みが行われている。