質問
院長として,日々の診療に加え,複雑化する労務管理や経理,行政対応まで行わなければならないのですが,細部までは手が回らず,本来の業務であるはずの医療に集中できません。また,在宅医療や健診といった新規事業の展開を考えていますが,多忙すぎて一歩が踏み出せない状況です。クリニックの経営を安定させ,持続的な成長を実現し,自分自身の負担も減らすにはどうすれば良いでしょうか。
回答
院長の業務負担軽減と,新規事業立ち上げを含む経営の安定化には,専門の「事務長」を採用することも有効な手段です。事務長は,院長が医療行為に専念できるよう,ヒト・モノ・カネの管理と,新規事業の具体的な実行計画を一手に担います。これにより,院長は雑務から解放され,経営の質的向上と持続的成長の基盤が確固たるものになります。
開業医の実態調査や実務経験から,院長が診療行為以外の「経営管理・雑務」に費やす時間は,活動時間の20〜40%に達すると推計されます1)〜3)。つまり,活動時間の約30%を,事務長が本来担うべき業務に費やしている可能性があります。この貴重な時間を,医療の質向上や経営戦略立案に振りわけることが,クリニック経営の次なる一手です。
1. なぜ今,クリニックに事務長が必要なのか
クリニックの院長は,「患者さんを診る」という医療の本質的な業務に加えて,経営者,人事労務,経理,時には設備管理者としての役割も担っています。特に,小規模なクリニックにおいては,この兼務が常態化しており,院長の心身の負担は非常に大きいものがあります。実際,開業医の労働時間の実態を見ると,1日の労働時間は「9時間以上」が約半数を占めており,長時間労働も常態化していることがわかります(図1)1)。日々の診療後に待っているのは,レセプトチェック,スタッフとの面談,業者との折衝,行政への届出書類作成などの業務です。こうした医療行為以外の業務が院長の活動時間の相当部分を占めており,本来行うべき医療の質の向上のための施策や将来の経営戦略を練る時間が圧迫されています。このような現状を解決したいと考えるとき,医療以外の業務を事務長に担ってもらうことで,院長は本来の業務に集中することができ,負担も分散されます。

