
採血で各アレルギー検査は陰性で,気温差などで鼻漏や鼻閉などを生じる鼻炎は「血管運動性鼻炎」と言われている。麺類など熱いものを食べる時に水様性鼻漏が出たり,冬に寒い屋外と温かい室内の行き来で鼻症状が出たりすることから,最近は「寒暖差アレルギー」とも言われている。西洋医学的にはアレルギー性鼻炎と同様に抗アレルギー薬やステロイド系点鼻薬を試みるが,本例のようにそれらで改善しない場合がある。
本例は10代男性であり,一般的には冷え症は少ないが,汎下垂体機能低下症,甲状腺機能低下症に対する各ホルモン補充療法で採血上各ホルモン値は正常化しているものの,重篤な原疾患により急に強い冷えを自覚するようになった。強い冷えと腎陽虚が背景(少陰寒化)にある慢性鼻炎には麻黄附子細辛湯が有効であり,本例も内服後速やかに改善した。
軽い冷えがあり水分過多なら小青竜湯
このような慢性鼻炎に強い冷えを伴うケースはむしろ高齢女性によくみられ,麻黄附子細辛湯が著効する。しかし,麻黄附子細辛湯には麻黄のエフェドリン作用があるため,特に高齢者には血圧上昇や尿閉,また胃痛などの副作用に注意する必要がある。麻黄が使えない場合には苓甘姜味辛夏仁湯や真武湯を試みる。また冷えがそこまで強くなく,心下水飲(水分過多)がある場合には小青竜湯を使用する。
アレルギー性鼻炎,慢性副鼻腔炎を含め,鼻症状に対する漢方薬の使い分けを表に示す。

