年1回くらいは経験するけれども,いざ出会ったときに困る症例を共有!
症例 66歳,女性
●病歴
もともとADLは自立していた。当院への転院2カ月前より両下腿の腫脹と発熱を認めた。前医で施行されたCT検査で著明な腹水を認め,尿路感染症および肝硬変による腹水と診断され,抗菌薬およびアルブミン点滴による治療を受けた。
転院2週間前より右手および両下腿にじんじん感が出現し,四肢末梢の筋力低下も認めた。ふらついて歩けなくなったため,精査目的に当院へ転院した。
●主な身体所見・神経学的所見
身長153cm,体重68.5kg,BMI 29.3kg/m2。バイタルサインは正常であった。皮膚に色調変化なし。両下腿に圧痕性浮腫を認めた。四肢末梢にMMT 4程度の筋力低下を認めたが,明らかな左右差はなかった。右手掌から第1~4指,ならびに両膝から足先にじんじん感を訴えた。下肢振動覚3秒/1秒(右内果/左内果),下肢腱反射は消失。Romberg徴候陽性であり,独歩不能であった。
●主な検査所見
血液検査:WBC 13250/μL(Ne 86.4%,Ly 8.4%,Mo 4.2%,Eo 0.8%,Ba 0.2%),Hb 9.5g/dL,Plt 16.0×104/μL,AST 61U/L,ALT 36U/L,BUN 12.9mg/dL,Cr 0.56mg/dL,Fe 21μg/dL,フェリチン624.4ng/mL,IgG 2204mg/dL,IgM 111mg/dL,IgA 657mg/dL,蛋白分画(アルブミン44.3%,α1 3.7%,α2 8.0%,β 7.6%,γ 36.4%),抗SS-B抗体26.8U/mL,MPO-ANCA 15.5U/mL,血清VEGF 2119pg/mL
髄液検査:細胞数および蛋白上昇なし,細胞診陰性。
骨髄穿刺(左腸骨):形質細胞増殖なし。
神経伝導検査:両側脛骨神経CMAP著明低下,左正中・尺骨神経CMAP軽度低下,両側腓腹神経SNAP同定困難,左正中・尺骨神経SNAP正常。
全身CT検査:著明な腹水および肝萎縮あり。臓器肥大および腫瘍はなし。
