厚生労働省は6月5日、保険医療機関等の遡及指定時や機能移転時の診療報酬算定の取り扱いで通知を発出した。開設者等の変更による遡及指定や機能移転の当初から旧医療機関の施設基準を引き継いでの報酬算定を認める場合の判断基準を明確化するなど、医療機関の予見可能性向上のための見直しを行う。2026年9月1日から適用する。
保険医療機関の廃止と同日に保険医療機関等を開設して指定を受ける場合(開設者変更等が該当)については、旧医療機関の廃止日または翌日を指定日とし(=遡及指定)、この日から旧医療機関が届け出ていた施設基準等を引き継いで診療報酬を算定できる例外措置が設けられている。地域医療構想に基づく機能移転(急性期病棟を他院に機能移転し、自院は包括期の病棟のみにする等)にも準用され、機能移転日から移転元で算定されていた報酬の算定が可能。ただ、現行の運用には不明瞭な部分も多く、中央社会保険医療協議会総会で見直しが決まっていた。
通知によると、遡及指定および遡及指定日から報酬算定が可能なのは「開設者変更」「所在地変更」「開設者の個人から法人、または法人から個人への変更」「保険医療機関の病院から診療所、または診療所から病院への変更」のいずれかに該当し、地方社会保険医療協議会が認めた場合とする。
■近距離移転の場合の距離要件を現行の2km以内から拡大
その承認要件は①過去に診療・調剤した患者の引継ぎ、②現に診療中の患者の引継ぎ、③標榜診療科、④職員の引継ぎ、⑤移転距離が近い(所在地を移転する場合に適用)、⑥地域医療構想調整会議等における議論─の各項目の基準を満たす場合と定めた。このうち⑤では現行は原則2km以内とされている距離要件を、病院・有床診は「同一二次医療圏内」または「同一都道府県内の直線距離で12km以内」、無床診は「同一市区町村内」または「同一都道府県内の直線距離で6km以内」に広げる。
機能移転も①現に診療中の患者の引継ぎ、②職員の引継ぎ、③地域医療構想調整会議等における議論─の各項目の基準を満たす場合を要件として機能移転日からの報酬算定を認める。
遡及指定・機能移転とも要件を満たさない事例を一律に適用不可とはせず、個別の状況を踏まえて地方厚生局等において総合的に判断することとする。