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歯周基本治療,抗菌薬内服後の排膿×排膿散及湯[漢方スッキリ方程式(111)]

登録日: 2026.06.10 最終更新日: 2026.06.10

王 宝禮 (大阪歯科大学 歯科医学教育開発センター教授)

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歯周病は国民の8割が罹患し,まさに国民病である。歯周病の急性症状の疼痛は激しい。歯周病は感染症であり,歯周病関連細菌の菌体成分に対して歯周組織内で免疫担当細胞が炎症性サイトカインや疼痛誘発物質などを産生する。

歯周病基本治療の原則は原因除去である。それは毎日のブラッシング指導とプラーク(歯垢)コントロールの徹底,専門的クリーニングや歯石除去,スケーリング・ルートプレーニング,必要に応じて噛み合わせの調整や生活習慣の改善指導となる。

歯周病に対する漢方薬を西洋医学と東洋医学的な概念で「免疫低下型」と「炎症型」に分類できる。①免疫低下型:歯肉の炎症傾向が少ないにもかかわらず,わずかな出血や排膿が続いたり,歯肉が退縮したり,歯がグラグラしたりする場合があり,生体の防御反応の低下が考えられる。補中益気湯はこの適応となる。②炎症型:歯肉が赤く腫れ,痛みもあり,出血,排膿などの炎症症状が顕著に認められる場合。黄連解毒湯排膿散及湯はこの分類時の適応と考える。

痛みは軽減・排膿は続くケースにおすすめ

排膿散及湯の使用目標と応用は,化膿性腫物の比較的初期で炎症性浸潤のために患部が硬く痛みを伴う状態に用いるが,遷延して痛みは軽くなったが排膿は続くというものにもよいとされている。胃下垂高度な者では胃腸障害に注意すべきである。皮膚科においては,癤,癰,瘭疽などに応用されるが,抗菌薬との併用が必要なことも少なくない。

これまでの臨床報告では,歯周炎急性発作時において,局所の症状以外に著明な全身症状がなく,抗菌薬とともに排膿散及湯を併用投与した場合,臨床症状の改善が抗菌薬単独で投与した場合より効果があるという報告がある。

この臨床研究では,ペニシリン系やセフェム系抗菌薬の抗菌機序が異なるため,漢方薬の併用によって感染巣の改善がより短縮されたと考えられる。

他の症例では,歯周炎急性発作のため切開し,抗菌薬,鎮痛薬,消炎酵素薬の処方を受けていたが,改善せず,内服薬を中止し,排膿散及湯2週間処方で完治したと報告されている。また,智歯周囲炎による咬合時痛に対して,抗菌薬による蕁麻疹の既往歴があることから,消炎切開し排膿散及湯2週間処方で完治した報告もある。

排膿散及湯処方は胃腸障害、悪心、嘔吐、眠気といった抗菌薬の副作用が認められなかった。


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