執筆:宮崎 仁(宮崎医院院長)
血液編④ 日本プライマリ・ケア連合学会監修
本連載では,日本プライマリ・ケア連合学会/全日本病院協会が実施している「総合医育成プログラム」の中から,選りすぐりのクリニカルパールを紹介します。現場のニーズを熟知しているエキスパートが,プライマリ・ケア医にとって「まさにそこが知りたかった!」というポイントをわかりやすく解説します。
◆好中球数500/μL以下の重症好中球減少症および好中球減少時の発熱は,血液学的エマージェンシーとして迅速な対応を要する。
◆何らかの薬剤を内服中の患者が,急激に進行する高度な好中球数減少をきたし,他の血球系統の異常が認められない場合は,薬剤性好中球減少症を疑う。
1 白血球数の増加を診たら
白血球数増加(1万1000/μL以上)を診たら,まず,「著明な増加(5万/μL以上)であるか」「他の血球系統(赤血球数,血小板数)に異常はないか」を確認することが必要です。続いて,白血球分画のうちで,どの分画が増えているか,白血病細胞(芽球)は出現していないかをチェックしましょう。白血球数が5万/μLを超えている場合は,芽球の有無にかかわらず,専門医療機関へ直ちに紹介して下さい。
(1)好中球数の増加
プライマリ・ケアの外来診療で遭遇する白血球数増加で圧倒的に多いのは,好中球増加症です。その原因としては,急性の経過なら感染症(主として細菌感染)が,慢性の経過なら喫煙や肥満を背景とする「慢性特発性好中球増加症」が大部分を占めています。
慢性特発性好中球増加症とは,慢性的な好中球増加症があるにもかかわらず,適切な検索を行っても,その原因となるような疾患や背景が特定できない病態です。白血球数は1万~1万5000/μL程度の増加であることが多く,重篤な血液疾患への移行もほとんどなく,経過も良好です。本症と関連する因子としては,喫煙が最も重要であり,非喫煙者では肥満が関連しています。健診で偶然に発見された軽度の白血球増加症のほとんどは,本症に相当するものと考えてよく,禁煙により好中球数は正常化します。
