医療機関向けにSNSを活用した看護師の採用広報支援や情報発信支援を行う株式会社メドエックスは5月25日、東京・八重洲倶楽部で、子育てや離職を経験した看護職へのヒアリングを兼ねた意見交換会を開いた。
同社は、医療機関の看護師採用広報において、求人条件だけでは伝わりにくい職場の雰囲気や働き方の実情を、SNSなどを通じて求職者に届ける支援サービスを行っている。今回の意見交換会は、看護師資格を持ちながら現場を離れている人や、子育てなどを機に働き方を見直した看護職が、復職に際して何に不安を感じ、どのような情報を求めているのかを把握する目的で実施した。
同日は、家族の転勤、子育て、紹介された医療機関とのミスマッチなどを背景に、看護職としての就業を一時離れた経験を持つ3人が参加。復職に際する不安や、希望する働き方、情報収集の方法などについて意見を交わした。
復職の壁は「働く意思」よりも不安
参加者からは、看護師資格を活かしたいという思いがある一方で、ブランク後の技術面への不安や、医療現場特有の責任の重さが復職の障壁になっているとの声が挙がった。採血などの医療行為や急変対応への不安に加え、久しぶりに現場へ戻った際に、現在の医療現場のスピードや業務内容に対応できるかを懸念する意見もあった。
体調管理など自身が対応しやすい領域であれば関われるのではないかとの声もあり、復職に当たっては業務内容や責任範囲の明確化が安心材料となりそうだ。
子育て世代は条件と責任のバランスを重視
子育て中の参加者からは、子どもの体調不良などによる急な休みに対応できるか、勤務時間や通勤距離が家庭生活と両立できるかといった点が重要との意見が出た。
給与については、高待遇を求めるというより、資格や業務内容、勤務時間、アクセスなどの条件に見合う形で働きたいという考えが中心だった。看護師資格を生かしながら、家庭との両立や責任範囲とのバランスが取れる職場を探したいという意向がうかがえた。
求人票だけでは見えない職場の空気
復職先を検討する際の情報収集については、求人票だけでは職場の雰囲気や実際の働き方が分かりにくいとの指摘があった。復職前に見学や研修の機会があること、動画やSNSを通じて現場の様子を知れること、働く人の雰囲気や業務内容が具体的に伝わることが、復職に向けた安心材料になるとの意見が出た。
また、転職支援サービスなどとの接点については、電話による営業よりも、LINEなどを活用した負担の少ないコミュニケーションを望む声がみられた。情報提供の頻度についても、日常的に多く届くより、必要な情報が適度な頻度で届く方が受け入れやすいとの意見があった。
メドエックスは、離職や子育てなどを経験した看護職は、医療現場の厳しさや実情を知っているからこそ、見栄えよく作り込まれた動画だけでは惹きつけにくいとみている。求められるのは、「大変な面はあるが、ここならやっていけそう」と感じられるリアルな情報発信だ。同社では、代表をはじめ、撮影に関わるスタッフも薬剤師や看護師など医療現場に通じたメンバーで構成されており、こうしたニーズに応えられる点を強みとしている。
メドエックス「現場感覚に触れることができた」
今回のヒアリングについてメドエックスは、「医療人材市場では転職エージェントや紹介会社を通じた接点が中心になりがちだが、実際に看護職の方々が何を不安に感じ、どのような情報を求めているのかを直接知る機会は多くない」と振り返った。
その上で、「第三者を介した情報だけでは見えにくい、看護師本人の声や現場感覚に触れることができた。働き方や職場への期待・不安を理解した上で情報発信を設計していくことの重要性を改めて感じた。今後も医療機関の魅力や実際の働き方が伝わる支援につなげていきたい」とコメントした。
看護師不足が課題となる中、潜在看護師の復職を後押しするには、求人条件の提示だけでなく、「ここなら働けそう」と感じられる情報発信や接点づくりが求められそうだ。