上野賢一郎厚労相は5月18日、ハンタウイルス感染症患者等の接触者の発症予防に「アビガン」(一般名:ファビピラビル)を使用したいとの要請が英国からあったことを受け、政府備蓄分のアビガンを英国時間15日に提供したと発表した。
アビガンは、富士フイルム富山化学が開発した国産の抗ウイルス剤。これまでに新型・再興型インフルエンザ、重症熱性血小板減少症候群の治療薬として薬事承認されている。
厚生労働省によると、ヒトを対象とした臨床試験でハンタウイルス肺症候群の治療・予防に関するアビガンの有効性・安全性は確認されていないものの、ハムスターを使用した動物実験でアビガンがハンタウイルス感染後の生存率を上げたという実験結果が存在するという。
■日本人のクルーズ船乗客保護への協力など踏まえ判断
大西洋上を航行中のクルーズ船で発生したハンタウイルス感染症でWHOに報告されている症例は15日時点で8例、うち3例が死亡している。
上野厚労相は18日の記者会見で、英国へのアビガン提供の判断は「クルーズ船の乗客だった邦人1名に関し、チャーター機の余席提供、その後の英国での健康観察など多大な協力をいただいていること」などを踏まえたものと説明。
アビガンの提供は、新型インフルエンザ発生時に備えた「政府備蓄からの提供」としつつ、何人分を提供したかなどについては外交上の理由で明らかにできないとした。