全国医学部長病院長会議は4月24日に公表した「大学・大学病院の魅力向上・人材確保のための調査・研究」(令和6年度の文部科学省委託事業データを基に同会議が加工)から、大学病院に対する人材離れの傾向が改めて浮き彫りとなった。調査は医学生(5・6年)827人および大学病院勤務医師を対象に実施された。
調査結果によると医学生の63.3%が「大学病院以外で勤務したい」と回答。その理由として「(大学病院以外の医療機関の方が)給与が高い」「労働環境が良い」などが挙げられている。
現役の医師においても同様の傾向が見られ、54.1%が将来的に大学病院以外での勤務を希望した。理由は医学生と同様に、労働環境や待遇面を重視する回答が多く、大学病院の人材確保に対する厳しい現状が示された。
■処遇改善と研究環境整備が焦点
大学病院は高度医療の提供に加え、教育・研究機能を担う中核的な存在だが、調査ではその研究環境の厳しさも明らかとなった。若手医師を中心に研究時間の確保が難しく、診療業務への偏重が続いている。
背景には、診療規模の拡大に伴う業務負担の増加や、経営面での制約がある。大学病院では増収傾向が見られる一方で、人件費や設備投資の増加により利益率は低下しており、教育・研究機能に十分な資源を振り向けにくい構造が続いている。
各大学では給与の増額や手当の見直し、研究支援体制の強化など、人材確保に向けた取り組みを進めているものの、十分な改善には至っていないのが現状だ。
同会議の相良博典会長は調査結果を受け、大学病院の魅力向上と人材確保のためには、処遇改善に加え、研究・教育に専念できる環境整備が不可欠と指摘。若手医師の流出が進めば、大学病院の基盤そのものが揺らぎかねないとして、国による継続的な支援の必要性を強調した。