key word:業務委託契約,デューデリジェンス
「医療法人がある程度大きくなったので,売却してアーリーリタイアしたい」「引退したいが後継者がいないので,クリニックを誰かにゆずりたい」「後継者のいないクリニックを承継して,地域医療に貢献したい」など,最近は様々な形で医療機関のM&Aのご相談が増えています。しかし,医療機関のM&Aは,相手方当事者とのマッチング,価格の調査・決定,内部の調査(デューデリジェンス),許認可と,かなり専門的な分野です。そのため,売主側でも買主側でも,M&A仲介会社を利用することが一般的になっています。
一方で,不動産売買等を仲介する宅地建物取引業者(宅建業者)とは違い,M&A仲介会社に国家資格は必要ありません。極端なことを言えば,今日から誰でも「M&A仲介会社」を名乗ることができてしまうのです。また,仲介会社に支払う報酬は,M&Aの価格と連動していることが多く,数千万円単位になることもあります。実際,報酬額等について争いになったケースもあります。
今回は,仲介会社との契約がどのようなもので,トラブルをどのように防止すべきかについて,お話ししたいと思います。
1.M&A仲介会社との契約内容に注意
1)契約の性質
M&A仲介会社と締結する契約書のタイトルには,「業務委託契約書」と記載されていることがほとんどです。しかし,売買契約や賃貸借契約とは違い,契約書のタイトルだけでは,その性質がよくわからないのが難しいところです。
簡単に整理すると,業務委託契約は「請負型」と「準委任型」にわかれます。「請負型」は,業務の完遂まで保証する契約で,建築契約などが典型的です。「準委任型」は,成果を保証するのではなく適切な業務を行う契約で,診療契約などが典型的です。建築契約において「建物ができないこと」は契約違反ですが,診療契約において「治癒しなかったこと」は契約違反ではありません。「適切な治療を行うこと」が契約内容であるためです。
さて,仲介会社と締結する業務委託契約の話に戻りましょう。ここで言う業務委託契約は,一般的に「準委任型」であると整理されています。M&Aに関するアドバイスや進行管理等が契約内容であって,M&Aが最終的に成功することまでは契約内容ではないということになります。