心肺停止(心停止)とは一般的に心臓と呼吸が停止した状態である。心肺蘇生法(cardiopulmonary resuscitation:CPR)とは,内因性疾患や外因性疾患(外傷など)により心肺停止していると思われる状態の人に,心肺が再び動きだすことを目標に,呼吸および循環補助を中心として行う緊急処置法のことである。
▶CPRのポイント
心肺停止患者あるいは心肺停止が切迫している患者を救命するのみではなく,社会復帰に導くためには「救命の連鎖」が必要とされる。「救命の連鎖」は,①心停止の予防,②心停止の早期認識と通報,③一次救命処置(basic life support:BLS)〔心肺蘇生と自動体外式除細動器(automated external defibrillator:AED)〕,④二次救命処置と心拍再開後の集中治療の4つの要素から成り立つ。
①第一の要素となるのは予防である。特に小児領域では外因性疾患(外傷,溺水,窒息など)により心停止に至るケースが多く,それらは予防できる可能性が高い。成人の場合であれば,外因性疾患のみならず内因性疾患の予防も重要である。
②第二の要素である早期認識とは,突然倒れた人や反応がない人と接触した場合,直ちに心肺停止を疑うことである。心肺停止の可能性があると判断した場合には,直ちに応援を呼び,緊急通報を行うことが重要である。
③第三の要素として,BLSを行う。胸骨圧迫と人工呼吸を組み合わせたCPRにより,心肺の代わりに血液循環と換気を保つことが救命から社会復帰までの可能性を高めると考えられる。また,致死的不整脈(心室細動,無脈性心室頻拍)に対してはAEDを使用することが肝要である。
④第四の要素として,医療従事者はBLSと並行して,可能であれば薬物の使用や高度な気道確保などによる二次救命処置(advanced life support:ALS)と,それに引き続く集中治療を行うことが救命とその後の社会復帰につながる。
この4つの「救命の連鎖」を一般市民とともにシームレスにつなぐことが,医療従事者に課せられた使命である。心肺停止に対するCPRは,様々な講習会が全国で行われており,それらに参加し,修練することが医療従事者としては必須であると考える。
