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患者から賠償請求を受けたとき―初動対応のポイント[〈知っておきたい〉医療機関の法的リスクヘッジ(33)]

登録日: 2026.04.07 最終更新日: 2026.04.15

川﨑 翔 (よつば総合法律事務所東京事務所所長/弁護士)

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key word:賠償請求,賠償責任保険,初動

患者やその家族から賠償請求の意思表示(口頭での請求,弁護士名の受任通知,内容証明等)を受けた場合,医療機関に生じるリスクは「過失の有無」そのものだけではありません。初動対応を誤ると,万が一,医療機関側の過失が認められた場合,医師賠償責任保険による損失の補塡(保険金の支払い)が受けられないといった不利益が生じることがあります。

今回は,賠償請求を受けた局面で,患者対応とは別にどのような対処が必要になるのかをまとめてみたいと思います。

1.保険会社・医師会への連絡は「確定前」から始める

SNS等が普及し,権利意識の高まった昨今では,患者側からの賠償請求が増えていると言われます。しかし,件数が増えたと言っても,実際に賠償請求を受け,弁護士を依頼して交渉を行ったり,裁判を経験したという先生方は少ないと思います。そのため,実際に賠償請求を受けた際に,医療機関側でどのような対応をすべきかについてのノウハウが十分に共有されていないと感じることもあります。

特に,医療現場では「まだ過失が確定していない」「患者が怒っているだけかもしれない」と様子見をしがちです。しかし,保険実務では,患者側から賠償請求があった時点での通知・相談が,その後の補償(特に弁護士費用を含む裁判対応)を左右します。医師会等の研修や賠償責任保険の案内でも,下記のような説明がされています。

(1)請求を受けた(または受ける可能性がある)場合,速やかに保険会社の窓口や医師会へ連絡をすること
(2)医療機関のみの判断で患者側との賠償交渉を進めないこと
(3)保険会社や医師会の承認なく責任を認めたり金銭を支払ったりすると,保険金が支払われない(医師賠償責任保険の適用がなくなる)ことがあること

ここで言う保険会社や医師会への連絡とは,必ずしも「保険金(支払うべき賠償額)を確定させること」ではありません。①事案の概要,②患者側の動き(患者側弁護士の関与の有無),③院内の見立て(暫定でよい),④今後の見通し(面談要請,カルテ開示,訴訟可能性)を共有し,賠償責任保険が早期に関与できる環境をつくることが重要です。

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