厚生労働省は3月23日、世界的に報告数が増えているチクングニア熱について、国内症例発生の可能性があるとした国立健康危機管理研究機構(JIHS)のリスク評価を公表した。
チクングニア熱はヤブカ属のネッタイシマカやヒトスジシマカに刺されることで感染する蚊媒介感染症。発熱、関節痛、発疹などの症状があり、重症化するケースは稀であるものの、関節痛が数週間~数カ月持続することがある。これまで日本での報告は輸入症例のみで、国内症例の報告はない。
■感染環が成立する期間、温暖化の影響で長期化する可能性も
JIHSのリスク評価は、熱帯・亜熱帯地域を中心にチクングニア熱の報告数は世界的に増加傾向にあるとし、媒介蚊のヒトスジシマカは国内の本州以南に広く分布していることから、「夏季には、輸入症例をきっかけとして局所的な感染連鎖が成立し、国内でチクングニアウイルスに感染する可能性がある」と指摘。
冬季には成虫の活動が停止するため、流行は単年で終息することが想定されるとしながら、「今後の温暖化の影響により、感染環が成立する期間が長期化する可能性がある」としている。
国内の医師に対しては「流行国への渡航があり、発熱、関節痛を主体とした症状のある患者に対して、チクングニア熱を鑑別にあげる必要がある。デング熱やジカウイルス感染症と臨床的に区別がつきにくいことに注意が必要」と呼びかけている。
厚労省は、国内症例の発生に備え「蚊媒介感染症に関する特定感染症予防指針」を策定。JIHSはそれに基づく対応マニュアルや診療ガイドラインをサイト内に掲載している。
【関連情報】
蚊媒介感染症に関する特定感染症予防指針(厚生労働省)
デング熱・チクングニア熱・ジカウイルス感染症等の媒介蚊対策〈緊急時の対応マニュアル〉(国立感染症研究所)
蚊媒介感染症の診療ガイドライン(第5.1版)(国立感染症研究所)