日本医師会と四病院団体協議会は3月18日、有料職業紹介事業の適正化に向けた報告書を公表した。民間職業紹介事業の高額な紹介手数料や早期離職への対応として、手数料率の上限規制や返戻金制度の義務化などを提言した。同日には日本医師会ドクターサポートセンターのリニューアル内容も公表され、無料の広域マッチング機能強化を進める方針が示された。
報告書は、医療分野で有料職業紹介事業への依存が高まる一方、採用コストの増大が医療機関の経営を圧迫していると指摘。2023年度の紹介手数料総額は、医師が約247.6億円、看護職が約579.9億円、介護職が約233.8億円に達したとしている。また、医療・介護・保育分野では、有料職業紹介サービスの利用について「紹介手数料」に不満またはやや不満とした割合が82.0%に上る。
また、紹介人材の定着に関しても、条件不一致の紹介や、スキル・健康状態に関する情報の過少申告といったケースも報告され、早期離職の一因となっている。
有料職業紹介の適正化を巡っては、厚労省が25年4月施行の「職業安定法施行規則の一部を改正する省令」などにより、職業紹介事業者には紹介手数料率実績の公表や違約金規約の事前明示が義務づけた。制度整備が進んだ一方で、医療分野では高額な紹介手数料やミスマッチ、早期離職といった根本的な問題は依然として解消されておらず、十分に機能しているとは言い難い。
提言には高額な紹介手数料への緊急的対応として、紹介手数料率の上限規制の導入を求めた。加えて、早期離職による損失を医療機関側だけが一方的に負担するのは不合理だとして、返戻金制度の義務化と返戻水準の標準化が盛り込まれた。さらに、就職後の定着期間に応じて手数料を確定させる成果型報酬体系の導入も提案。求職者に対して、医療機関側が負担する手数料率や金額を個別具体的に提示することや、違反・不適切事例への指導監督強化、情報公開の推進も求めている。
こうした状況を受け、日医は「医師偏在是正に向けた広域マッチング事業」の受託に伴い、ドクターサポートセンターの体制を刷新。新サイトでは、組織概要、ワークライフサポート、日本医師会ドクターバンク、地域のサポート情報、相談窓口などを掲載し、2009年度に開始した女性医師支援センター事業を基盤としつつ、すべての医師を対象にした支援へと機能を広げる。日本医師会ドクターバンクは、厚生労働省指定事業として、求人施設・求職者ともに無料で利用できる。
日医によると、ドクターバンクの新規求職本登録は2024年度の414件から2025年度は660件に、新規施設登録数は935件から1376件に増加。有効求職者数も2025年2月の582人から2026年2月には807人へ拡大している。日医は、地域ドクターバンクとの業務提携を進め、全国ネットワークの構築を目指すとしており、現在は愛知、岐阜、沖縄の各医師会やハローワークと提携、複数の府県医師会とも正式契約締結に向けた調整を進めている。