質問
クリニックを開院してから6年が経ち,ここ数年は,経営的にも安定した状況が続いています。次のステップとして分院展開を考えていますが,分院長とそりが合わず苦心している知り合いもおり,不安を感じています。分院を立ち上げるにあたって,失敗しないためのポイントがあれば教えて下さい。
回答
分院展開を考える際には,質問者さんの知人の例にもあるように,分院長との不和やスタッフ管理といった「人」の問題が,破綻の原因となるケースは少なくありません。こうしたリスクを回避し,持続的な成長を実現するためには,分院展開の目的を明確にし,その目的に合った分院長やスタッフを採用すること,そして,本院のサービス水準を担保するマネジメント体制の構築が不可欠です。
当社支援先のクリニックでは,分院展開の構想を練りはじめてから実際の開院までに約2年の期間を要しました。通常,クリニックの設計・施工に3〜6カ月以上,医療法人の定款変更や行政手続きに4カ月以上の時間が必要です。さらに,法人全体としての理念の確立・浸透や,分院長やスタッフの採用・育成にも一定の時間が必要となるため,長期的なスパンで検討を進めることが成功の鍵となります。
1. 分院を開設する目的を明確にする
分院展開を考える第一歩として重要なのが,「なぜ分院を立ち上げるのか」という目的を明確にすることです。この目的がクリアになっていなければ,ブランディングの軸がぶれ,行き詰まる原因となってしまいます。一般的に,クリニックの分院開設にかかる期間は,2年程度と考えておいて下さい。その時間と労力をかける分,失敗や行き詰まりがないよう,最初に目的をきちんと設定しておくことが大切です。
分院の展開戦略は,本院と分院の診療圏と診療科目の組み合わせによって,図1に示す通り4つに分類することができます。それぞれの分類について,以下で詳しく説明します。

