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女性の動悸×半夏厚朴湯[漢方スッキリ方程式(108)]

登録日: 2026.03.11 最終更新日: 2026.03.11

中川幹子 (医療法人親愛 天神クリニック)

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動悸を主訴に受診する若年~中年の女性は比較的多い。このような患者に対して,器質的疾患を除外するために,血液検査(検血一般や甲状腺機能)に加え,安静時心電図,ホルター心電図,心エコー図等を記録する。心機能が正常で単発性の心室期外収縮が散発している,いわゆる「特発性心室期外収縮」の場合,ガイドライン上は特に西洋医学的な治療の必要はなく,経過観察でよいとされている。ただし,心室期外収縮の頻度が多く(例えば1日に1万発以上),自覚症状も強い場合には,β遮断薬やCa拮抗薬等による薬物治療,あるいはカテーテル・アブレーションが勧められる。

咽の痞え感があれば迷わず選択

漢方薬が有効なのは,不整脈は出現していないか,あっても治療を必要としない(例えば期外収縮が1日に2000~3000発程度散発)が,動悸症状が強くて不安感を覚える患者である。背景にストレスがあり,動悸以外にも心身の不調を訴え,「気」の異常(気滞,気逆)を伴っていることが多い。このような患者には気のめぐりをよくする「理気剤」を使用すると著効することを多く経験する。半夏厚朴湯は代表的な理気剤であり,まじめで神経質な女性の不安神経症に奏効する。

半夏厚朴湯は水毒がらみの気滞に対して,気をめぐらし逆気を下す働きがある。ポイントとして,咽頭の閉塞感や痞え感(咽中炙臠または梅核気)を有しているなら迷わず半夏厚朴湯を選択する。半夏厚朴湯に関する臨床・基礎研究1)によると,脳内の5-HT,ノルアドレナリン,ドーパミン濃度は半夏厚朴湯を投与されたマウスで有意に増加しており2)半夏厚朴湯の抗不安,抗うつ作用の機序の一つとして説明されている。

気の異常を伴った動悸に有効と考えられている漢方薬をにまとめた。更年期女性が動悸や息切れを訴える場合には加味逍遙散も有効なことが多い。


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