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■NEWS 【国際脳卒中学会(ISC)】降圧薬の種類によりラクナ梗塞後の転帰に差はあるか:RCT"SPS3"後付解析

登録日: 2026.02.17 最終更新日: 2026.02.17

宇津貴史 (医学レポーター/J-CLEAR会員)

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本邦最新の高血圧ガイドラインであるJSH2025では、「脳血管障害」を「積極的適応」とする降圧薬として、長時間作用型ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬とレニン・アンジオテンシン(RA)系阻害薬、そしてチアジド(サイアザイド)系利尿薬の3種を挙げている。ではこれら3剤の中では、どの薬剤を優先すべきだろうか―。

24日から米国ニューオーリンズで開催された国際脳卒中学会(ISC)では、この問いに対するヒントとなる成績が、Raed Hailat氏(米国・オハイオ州立大学)により報告された。ラクナ梗塞を対象としたランダム化比較試験(RCT"SPS3"の追加解析である。その結果、後付解析という限界はあるものの、チアジド系利尿薬の優位性が示唆された。

SPS3試験の対象は、ラクナ梗塞発症から180日以内の3020例(±高血圧)である。目標収縮期血圧(SBP)「130mmHg未満」群と「150mmHg未満」群にランダム化され、脳卒中リスクが比較された(結果として群間リスクに有意差なし)。今回の解析対象はそのうち、試験開始後診察データの欠損していた27例を除く2993例である。降圧薬別に心血管系(CV)イベント発生リスクが比較された。降圧薬の内訳は、「RA系阻害薬」と「チアジド系利尿薬」「β遮断薬」「Ca拮抗薬」である。

その結果、「ラクナ梗塞・脳実質出血」リスクには上記薬剤間に、諸因子補正後であれば有意差を認めなかった。ただし補正前は、β遮断薬でのみ「服用」例で「非服用」例に比べ、有意なリスク増加が見られた(死亡を競合リスクとした部分分布ハザード比[sHR]:1.41RA系阻害薬やチアジド系利尿薬、Ca拮抗薬では服用の有無によるリスクの差なし)。

他方、重篤CV系イベント(MACE)には、薬剤差を認めた。すなわち「チアジド系利尿薬」(sHR0.51)、「RA系阻害薬」(同0.61)、「Ca拮抗薬」(同0.55)で「服用」に伴い、「非服用」に比べ有意にリスクが低下していたのに対し、「β遮断薬」では「服用」と「非服用」間でMACEリスクの差を認めなかった。

このような薬剤間の違いは、「認知機能」に対する影響でも示唆された。試験開始時とその後のCASI(認知機能スクリーニング検査)スコアが明らかだった2659例で検討したところ、「チアジド系利尿薬」では改善傾向を示したのに対し、RA系阻害薬とβ遮断薬、Ca拮抗薬では低下傾向が認められた。

ラクナ梗塞既往例に対し、第一選択とすべき降圧薬はいずれだろうか。

SPS3試験は米国政府機関から資金提供を受けて実施された。またHailat氏は本報告に関し、開示すべき利益相反を有さないとのことである。


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