脳出血に対する降圧治療の有用性は、急性期であれば2013年、ランダム化比較試験(RCT) "INTERACT2"により実証されている。そして亜急性期以降に対する降圧治療の有用性も、昨年10月の世界脳卒中会議で報告された、RCT"TRIDENT"で示されている(結果論文は3月中に公表とのこと)。
同試験では脳出血後に収縮期血圧(SBP)「130~160mmHg」だった1670例がランダム化され、降圧薬群ではプラセボ群に比べ、平均3年間の脳卒中再発を相対的に39%、有意に抑制した(治療必要数[NNT]は27)。
2月4日から米国ニューオーリンズで開催された国際脳卒中学会(ISC)では、このような脳出血亜急性期以降への降圧治療を「可能な限り早期から開始したほうがより有効である」とする、RCT患者レベルメタ解析がCraig Anderson氏(豪州・ニューサウスウェールズ大学)により報告された。
解析対象となったのは、TRIDENTに加え3つのRCT―PROGRESS、ESPRIT、RESPECTに参加した脳出血患者2944例である。いずれのRCTも、脳血管障害後患者に対する(積極)降圧療法の有用性が検討されたものだ。それぞれのRCTから患者個別データの提供を受け、メタ解析が実施された。
患者の平均年齢は60歳、男性が67%を占めた。人種別ではアジア人が75%で最も多い。試験開始時の血圧平均値は144/88mmHg、脳出血発症から降圧治療開始までの期間中央値は81日だった。
まず血圧の差を見ると、(積極)降圧群では対照群(プラセボ、または非積極降圧)に比べ、試験期間を通じて平均11/5mmHgの有意低値だった。また(積極)降圧群の血圧は、期間中を通して「130未満/80前後」で維持されていた(今後「脳出血後」血圧管理を考える上で、参考になる数字ではないだろうか)。
その結果、(積極)降圧群では対照群に比べ「脳卒中」「脳出血」「重篤心血管系イベント」のいずれを比較しても、リスクは有意に減少していた。目を引いたのは、両群の発生率曲線が試験開始直後から乖離を始めた点である。(積極)降圧開始後早期からの有用性が期待される。
では脳出血発症後、どれほど経過してから(積極)降圧を開始すべきなのか。亜集団解析を実施したところ、発症後「1カ月以内」開始群でも、その後開始群と脳卒中HRに差はなかった。早期開始に伴う脳卒中抑制作用の減弱は認められなかった形である。それどころか、(積極)降圧に伴う「NNT」をみると、開始時期が脳出血後早期になるほど小さくなる(=治療効率が大きくなる)、そのような傾向がみてとれた。
これらよりAnderson氏は、脳出血例に対しては「入院中に降圧治療を始めるべきだ」と結論している。この結果が今後、ガイドライン上でどのように評価されるのか、興味深いところだ。
本解析に対する外部資金提供の有無は、開示されなかった。