
日本では,妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交していたにもかかわらず,1年間妊娠しない場合を「不妊症」という1)。生殖補助医療の進歩は大きいが,35歳以降妊娠率が低下するため,挙児希望者が高齢の場合は,不妊期間が1年未満でも早期に検査と治療を開始したほうがよいとされている。
体調不良を漢方治療で改善
不妊の原因はさまざまだが,体調を改善することで妊娠することはよく経験する。漢方治療は多胎妊娠率を上げずに卵胞発育を改善する。また,排卵誘発剤併用の場合はその効果を高める。体調を整えることは大切だが,年齢を考慮して西洋医学的治療と同時に漢方治療を開始することも多い。
不妊治療でも胃腸症状の改善は大切である2)。また,不妊治療は精神的ストレスを伴うため,気剤(柴胡剤や半夏厚朴湯,加味逍遙散など)が必要なことが多い。本症例は胃腸症状がなく,精神症状も安定していた。月経関連症状は瘀血と考え,桂枝茯苓丸を処方したところ月経痛などの症状が改善し,その周期に排卵誘発剤は同量のままで妊娠した。
月経関連症状に用いる漢方薬を表に示す。元気で冷えがない場合は桂枝茯苓丸を考える。冷えがあれば温経湯を考える。温経湯は多嚢胞性卵巣症候群の排卵障害に有用との報告がある3)。冷えがあり,天候による体調不良や足のむくみなど水滞症状があれば当帰芍薬散がよい。月経前に精神症状(イライラや落ち込み)が強い場合は加味逍遙散が使いやすい。


