第51回衆議院議員総選挙が1月27日に公示された。2月8日の投開票に向け、各党は公約を打ち出し、選挙戦に臨んでいる。今回の総選挙では医療分野も大きな争点となる。診療報酬のあり方や医師の働き方、地域医療の確保など医師や医療現場への影響を中心に、各政党が公約に盛り込んだ医療政策を整理する。
自民党
自民党は、30年ぶりとなる診療報酬の大幅プラス改定を軸に、医療・介護分野の幅広い職種で賃上げを確実に進めることなどを盛り込んだ。国民皆保険を堅持しつつ、2040年頃を見据えた新たな地域医療構想にもとづき、医療機関の連携・再編・集約化を推進、医師偏在の是正など実効的対策で持続可能な医療提供体制の確保を目指すとしている。
医療・介護DXを巡っては、全国医療情報プラットフォームの構築や電子カルテの普及推進、質の高く安全で効率的なサービスの実現などを明記。さらに「攻めの予防医療」を掲げ、健康寿命の延伸と社会保障の担い手の確保を狙う。
また、革新的医薬品の開発環境整備と後発医薬品の安定供給を進めることで、国民の命と健康を守ると訴えている。
女性の健康支援やがん・循環器病・難病・移植医療・依存症などへの対策も推進し、妊婦の経済的負担軽減策として、正常分娩費用に自己負担が生じないよう整備を進めるとした。
日本維新の会
日本維新の会は、行政改革を軸に医療・社会保障を含む12分野の改革を掲げる「12本の矢」を政策の柱に据えた。昨年の自民党との連立政権参画以降、与党内での政策立案にも影響力を強める中、医療政策でも改革色を前面に打ち出した印象だ。
かねて主張しているOTC類似薬の保険適用見直しや医療財源を重症患者や革新的治療へ重点的に充てる構想を示した。
診療報酬では、都市部の高い人件費や家賃を反映した適正価格の設定を掲げる一方、医療提供が不足する地域や、夜間・休日の緊急対応など社会的ニーズに応える医師には、より高い報酬を付与する等、医療供給の確保と医師偏在の是正に取り組むとした。
開業医と勤務医の待遇格差を是正する観点からは、勤務医が多い病院・診療所の診療報酬を増額し、「医師の働き方改革」の実現に向け、給与を引き上げる方針を打ち出した。
中道改革連合
中道改革連合は、医療・介護・保育・障がい福祉といった社会的基盤を支える職種の給与を、全産業平均まで引き上げる方針を掲げた。
予防・検診の強化や、重複検査の是正、医療DXの推進により医療費の抑制を図り、社会保険料の上昇を抑える必要性を強調。高額療養費制度については、自己負担限度額の引き上げを見直し、患者負担を十分に抑える方向で見直しを進めるとした。
さらに、かかりつけ医制度の導入を目指し、かかりつけ医を中心とした新たな地域医療構想の実現にも取り組むとしている。医療提供体制の再構築と、現場の待遇改善をセットで進める姿勢を打ち出した。
国民民主党
国民民主党は医療政策の重点として地域医療の安定化と医師偏在の解消を掲げ、診療報酬の評価にメリハリをつける方針を打ち出した。
また、医療DXの推進により保険医療の高度化と効率化を進めると明記。具体策として、電子カルテや電子処方箋の義務化を打ち出し、データ連携による診療の質向上と業務負担の軽減を目指すとした。
勤務医の働き方改革については、業務量削減を重視し、過重労働の是正と労働環境の改善を図る方針を示した。
日本共産党
日本共産党は、医療政策の軸として「窓口負担の軽減」「国保料(税)の引下げ」「医療基盤の再生・強化」を掲げた。
患者負担や保険料の増加を招かないよう国費投入と国庫負担の引上げを進め、診療報酬のさらなる増額・改善を通じて医療崩壊を止める考えを示し、医療従事者の賃上げも併せて進めるとした。
薬剤費については、OTC類似薬に「特別料金」を徴収するなどの患者負担を増やす方針に反対、負担増を抑える姿勢を鮮明にしている。「高すぎる」国民健康保険料(税)の引下げを訴え、住民と医療保険制度を守ると明記。
また、すべての世代で窓口負担の軽減を進め、最終的には「窓口無料」を目指す方針を掲げている。負担軽減を最優先に、国の財政支出を拡充する従来の政策路線を踏襲している。
れいわ新撰組
れいわ新選組は、「地域医療構想」の根本的な見直しを訴え、医療提供体制のあり方を再検討する方針を明記。
また、緊急時に医療体制が逼迫するのを防ぐため、平時から十分な余裕を持つ公的医療の供給体制を確保する必要性を強調した。災害や感染症などの非常時に備え、病床や人員の余力を維持することを重視している。
参政党
参政党は医療・介護・障がい福祉の報酬を抜本的に引き上げる方針を掲げ、従事者の賃金アップと過重労働の改善を盛り込んだ。加えて、基礎年金の受給額の底上げを訴え、生活保障と医療・福祉の現場支援をセットで進める姿勢を示した。
健康維持や重症化予防に取り組む人にインセンティブを付与する方針も打ち出し、予防医療の強化を通じて医療費の抑制を図るとしている。
社民党
社民党は、医療費の窓口負担軽減を掲げる一方で、国公立病院の閉鎖や統廃合に反対する姿勢を鮮明にした。
また、マイナンバーカードを保険証として利用する「マイナ保険証」の取得強制に反対し、現行の健康保険制度の継続を主張。患者の負担増や受診控えにつながるとして、高額療養費制度の自己負担限度額引上げにも反対している。負担増の抑制と現行制度の堅持を軸に、医療アクセスの維持を優先する政策路線が際立つ。
チームみらい
チームみらいは、高額療養費制度の自己負担限度額引上げに反対し、患者負担の増加に歯止めをかける姿勢を示した。医療制度の非効率を削減し、質の高い医療が適切に評価される制度を目指すとしている。その中核にテクノロジーとデータを活用した医療制度の高度化を据え、医療現場の負担軽減と医療機関DXを支援、外出が困難な要介護者や医療アクセスが難しい患者に対する格差是正も図る方針を盛り込んだ。
診療報酬を巡っては、診療量だけでなく、慢性疾患の治療成果を評価し、効率の高い医療機関に報酬を配分する仕組みを目指すとしている。