
CIPNは,プラチナ系,タキサン系やビンカアルカロイド系の抗がん剤による頻度の高い副作用で,運動機能や自律神経にも影響し,患者のQOLを著しく低下させる。なかでも四肢の痺れや痛みなどの神経障害性疼痛は難治性で長期化することも多い1)。
神経障害性疼痛に対する附子剤の効果
神経障害性疼痛薬物療法ガイドライン2)では,神経障害性疼痛に対する漢方治療は,伝統医学に基づき経験的に使用されているが,神経障害性疼痛に対して有効性を示した薬物はなく,エビデンスはほとんど検証されていないとされている。
しかし,神経障害性疼痛の1つである帯状疱疹後神経痛に対して漢方薬の非ランダム化比較試験や症例集積研究があり,桂枝加朮附湯,麻黄附子細辛湯,芍薬甘草湯,真武湯,附子末などが鎮痛効果を持つことが報告されている3)。
鎮痛効果のある生薬である附子はトリカブト属植物の塊根から調製され,鎮痛・温熱・新陳代謝賦活作用を有するとされている4)。附子剤の桂枝加朮附湯は,吉益東洞が「傷寒論」の桂枝加附子湯をもとに創方したもので,体力がなく冷え症の関節痛や神経痛に用いられる。各附子剤の使い分けを表に示す。

西洋薬の継続が困難な場合の選択肢
本症例は,痺れや冷えのほか,下肢の絞扼感や足趾の攣りを認めたため,芍薬の効果を期待して桂枝加朮附湯を使用。ふらつきなどもなく奏効した。
神経障害性疼痛に推奨される西洋薬は,高齢者では眠気やふらつきで継続困難な場合がある。その場合に附子を含む漢方薬で有害事象なく症状が緩和される症例があり,有効な治療選択肢と考えられる。

