検索

×
絞り込み:
124件
カテゴリー
診療科
コーナー
解説文、目次
著者名
シリーズ

FOCUS:診療所で行う二次性高血圧の診断

登録日: 2025.12.19 最終更新日: 2026.02.21

上原拓樹 (北海道大学大学院医学研究院循環器内科学教室)

お気に入りに登録する

北海道大学大学院医学研究院循環器内科学教室
上原拓樹
2015年北海道大学医学部卒業。勤医協中央病院で初期研修を修了後,2017年より同院循環器内科に所属。2024年より現所属に異動し,臨床と教育に従事しながら,SNS等では「うし先生」として若手医師向けの情報発信に注力。著書に『循環器病棟の業務が全然わからないので、うし先生に聞いてみた。』(医学書院,2024年),『うし先生と学ぶ「循環器×臨床推論」が身につくケースカンファ』(医学書院,2025年),『うし先生、この心不全患者さん一緒に診てくれませんか?』(羊土社,2025年)がある。
私が伝えたいこと
◉高血圧の一部は二次性高血圧であり,原因疾患を治療すれば治癒または改善が可能である。
◉若年発症,治療抵抗性,急速に発症・進行した高血圧,低カリウム血症などは二次性高血圧を疑う重要な手がかりである。
◉診療所でも簡易検査や基本的スクリーニングを行い,必要に応じて専門医へ迅速に紹介することが求められる。
◉睡眠時無呼吸症候群や原発性アルドステロン症など,見逃しやすい原因疾患を念頭に置くことが,長期予後と合併症予防につながる。

❶ はじめに

高血圧(「本態性高血圧」とも呼ばれる)は非常に有病率が高く,commonな疾病の1つであり,診療所では多くの高血圧患者を診療している。高血圧診療の多くは生活指導や薬物療法で安定する。一方で,血圧コントロールに難渋する症例や二次性高血圧が背景に存在する症例に遭遇することも少なくない。二次性高血圧については,原発性アルドステロン症(primary aldosteronism:PA)をはじめ,原因疾患の知名度は高いにもかかわらず,実臨床の中でどのように診療すべきなのかは十分に理解されていないことも少なくない。

本稿では,現実的な二次性高血圧の評価を目標に,高血圧診療の総論を解説したのちに二次性高血圧について,特に診療所で行うべき内容を中心に説明する。日々の診療に生かして頂けたら幸いである。

❷ 高血圧診療の基本1)

(1) 高血圧とは

高血圧診療の基本は,脳心血管病予防を主眼とする血圧管理にある。高血圧は脳卒中,心筋梗塞,心不全,慢性腎臓病といった重篤な疾患の最大の危険因子であり,糖尿病や脂質異常症,喫煙と並んで動脈硬化の主要な原因である。様々な臓器に悪影響を与えることから,早期発見と的確な管理が不可欠である(図1)。

血圧の測定には診察室血圧と,家庭血圧や自由行動下血圧がある。『高血圧管理・治療ガイドライン2025』では診察室血圧に加えて家庭血圧を重視する姿勢が強調されている。特に家庭血圧は診療室での一時的な緊張による「白衣高血圧」を検出するために有用である。また,家庭血圧を測定することは,診療時には正常でも家庭では高値となる「仮面高血圧」を発見するためにも重要であり,診療上の信頼性が高い。

家庭血圧の測定方法としては,朝と晩の決まった時間に安静状態で測定し,1週間程度継続して記録することが推奨されている。朝と晩のそれぞれ1機会に原則2回測定し,その平均値を血圧値として用いるが,1機会に1回のみ測定した場合にはその血圧値を用いる。正しい血圧測定には,背もたれつきの椅子に座り,足を組まず,腕を心臓の高さに保つことが必要であることを患者に指導する(図2)。

(2) 高血圧の診断基準と新たな降圧目標

正常血圧は,診察室血圧が120/80mmHg未満,家庭血圧が115/75mmHg未満,である。高血圧の診断基準は,診察室血圧140/90mmHg以上,家庭血圧135/85mmHg以上,と定義されている1)。白衣高血圧や仮面高血圧の可能性があるため,診察室血圧と家庭血圧の両方を測定する。

正常血圧以上の数値が確認されたら,減塩(1日6g未満),適正体重の維持,運動,禁煙,節酒など生活習慣の改善を実施する。初診時の高血圧の程度にもよるが,初回の評価から1~3カ月後の再評価でも高血圧がみられた場合,薬物療法を行う。初診時より著明な高血圧がみられた場合は,後述の二次性高血圧を積極的に評価しながら,時期を空けずに薬物療法を開始する。

主要降圧薬はCa拮抗薬とアンジオテンシン変換酵素(angiotensin converting enzyme:ACE)阻害薬/アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(angiotensin Ⅱ receptor blocker:ARB)〔レニン・アンジオテンシン(renin-angiotensin:RA)系阻害薬〕,サイアザイド系利尿薬,β遮断薬である。それぞれの薬剤の積極的適応と禁忌,慎重投与を要する病態について,『高血圧管理・治療ガイドライン2025』を参考に記載した(表1)1)。降圧薬使用時の原則は単剤から開始し,効果が不十分の場合は速やかに2剤併用に進む。2剤の組み合わせについては上記の主要降圧薬から選択する。

降圧薬使用時の原則
降圧薬使用時の原則は多剤少量併用である。様々な作用機序の降圧薬を使用することで降圧効果の増強が期待でき,各薬剤を少量ずつ使用することで副作用の発現を低減させるためである。また,服薬アドヒアランスの観点から,服用回数は1日1回を推奨している。

従来の降圧目標は年齢や基礎疾患などでわかれていたが2),『高血圧管理・治療ガイドライン2025』から年齢や病態,合併症にかかわらず原則的に診察室血圧の降圧目標が130/80mmHgに設定された(表2)1)2)。

この記事はWebコンテンツとして単独でも販売しています

プレミアム会員向けコンテンツです
→ログインした状態で続きを読む


◀ 1 ▶